第六章 霊媒師OJT-2

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◆ 手放した意識が細い糸を手繰るようにゆるゆると僕の身体に戻り始めていた。 目を閉じていても回転しているのがわかるくらいの眩暈。 頭が割れるように痛む。 冷え切っているのか身体の震えがとまらない。 そして鼻を刺すような濃厚な血の匂いと腐敗臭。 僕の意識がはっきりするにつれ、胃の中のものが喉元までせり上がってきた。 駄目だ、気持ち悪い____ 窓を開けて換気をしないと耐えられない。 それからお手洗いを使わせてもらえるだろうか? 僕は硬い床に横たえた身体をなんとか起こし薄く目を開けた。 …………? あれ? 真っ暗だ。 もしかして思ったより長く気を失っていたのだろうか? その間に夜になってしまったのか。 まだ働かない頭を弱々しく振りながら目を凝らす。 もし今が夜だとしてもカーテンの付いてない窓から外の光が見えるはず…… なのだが、どこを向いても広がるのは闇ばかり____ ここは……どこだ? ドクン____と心臓の音が響いた。 本能が激しく警笛を鳴らしている。 まともな場所とは思えない。 口の中は乾ききり引いたはずの冷たい汗が全身から噴き出してくる。 「社長……? どこですか? いるんでしょう?」 おそらく社長はここにはいない。 なぜかそう確信を持ちつつも呼ばずにはいられなかった。 しんと静まった闇の空間。 夜の海の真ん中に放り出されたような不安感。 せめて光があれば。 視覚的に情報がほしい。 だけどどこに電気があるのだろうか?
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