第十三章 霊媒師 清水誠

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自然を愛し自然に愛され、生前は半世紀以上、山と語らい山と闘ってきた。 変わりやすい天候を読み、いつ襲ってくるかわからない野生動物(熊とか猪とか)と闘い、巨木を倒しその命を頂く事に感謝の気持ちを忘れた事のない本物の山人(やもうど)だ。 林業一筋55年、大きな怪我もなく対等に山とやり合ってきたお爺さんは、長い年月をかけて極めて高い野性的勘というスキルを身に着けた。 その勘がお爺さんの耳元でこれでもかと怒鳴っている、何かがおかしい、と。 おかしいと思う理由。 心なしか青い顔のお爺さんは、ブツブツと考え付く限りを呟き始めた…… その1→藤田家の誰か1人ではなく全員が口寄せされた。 その2→呼ばれた場所が誠の実家で、誠、ユリ、先代、岡村、猫(?)が勢揃い。 その3→誠の父親も同席(しかも正装)。 その4→霊感がない誠の父親と意思疎通ができるように通訳(岡村)までいる。 その5→大事な孫娘、ユリが最後に会った時より綺麗になっている。 その6→藤田家と清水家がわざわざ家族単位で会う必要性とはもしかして、いやまさか、ユリはまだ18だし、だがしかし、ちょっと待て……その7……その8……その9……その10……その11…… 『まさか……まさか……うわぁぁぁ! 俺は認めん! 認めんぞーーーーっ!』 お爺さんはしばし考え込んだ後、ガバァッと顔を上げたと同時に頭を抱えて絶叫した。 んー、どうやら正解に辿り着いちゃったみたい。 まぁ……孫命な人だもん、そうなるわなぁ。 気持ちは解らないでもないけど、芝の上でのたうち回るお爺さんに、どう声を掛けようかと躊躇していたその時、 「おっ、藤田家無事到着したか! 壱号達ご苦労さん! ん? 真さんはナニしてんだ? んな激しく跳ね回って……ハッ! もしかしてダンスバトルか!? 俺に挑もうってのか!?」 着替えを終えた社長が縁側に現れた。 てか社長、ダンスバトル(それ)って冗談ですよね? 本気で言ってないですよね? 話ややこしくなるから、そーゆーのヤーメーテー!
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