第十三章 霊媒師 清水誠

32/43
前へ
/2550ページ
次へ
「仕組みは分かりました。でも……相当難しそうですねぇ。どのくらいのレベルの難易度なんですか?」 僕がそのスキルを身に着けられるまでどのくらいかかるのか? ベテラン霊媒師でなければできない技の難易度だけでも聞いておきたい。 「うん、これは相当だよ。ウチも霊媒師歴5年以上でないと研修すらさせないからね。話だけなら今度清水君に聞いてみるといい。清水君は24時間365日、自分の中を間仕切って霊を閉じ込めているから。前に聞いた事があるでしょう?」 ……あ! ソウルアーマー! 前に社長が言っていた。 生前凶悪な殺人犯だった3人の霊を自分の中に閉じ込めているって。 その魂を薄切りにし、身に纏う事で生者の身体を霊体に変化させるんだ。 そうか、パーテーションで隔離させて魂が混ざらないようにしてるのか。 そもそも僕は1つの身体に複数の魂が入った場合、それらが混ざってしまう事すら知らなかった。 社長の身体に3人の悪霊が閉じ込められていると聞いた時、あまり深く考えずへ~そうなんだぁとしか思わなかったんだよな。 チラリと社長に目をやると、向こうもチラチラ僕を視ながらニヤニヤと笑っていた。 あれ絶対に褒め待ちだ。 僕が「社長スゴイです!」って言うのを今か今かと待ってるんだ。 や、でも確かにスゴイよ。 だってさ短時間の発動じゃないんだもの。 5年以上の経験値を取得して、やっと研修させてもらえる難易度高な術を、24時間365日発動しっぱなしにするなんて……化け物並みのスキルだな。 ふざけたオジサンと思わせて(いやそうなんだけど)やっぱり社長はスゴイや! 『へぇ、そうだったんだ。俺ぁ、毎日朝から晩までずっと印の修行で、それ以外の知識を入れる余裕がなかったからなぁ』 感心したように相槌を打つお爺さんに先代が言った。 「黄泉の国(むこう)に帰ったら、瀬山さんに言ってやんなさい。真君がそんな事知ってるとなったら瀬山さんびっくりして喜ぶんじゃないかな。 それはそうと……真君、瀬山さんと奥さんは元気にしてる? 黄泉の国(むこう)でやっと結婚できた2人だから、幸せにやってるといいんだけど、」 先代はにこにこと笑いながら、だけど少しだけ心配そうに聞いた。 『そりゃあもう、見ててこっちが恥ずかしくなるくれぇ、イチャイチャイチャイチャ……ま、夫婦で仲が良いってのは悪いコトじゃねぇけどな。 持丸さん、改めて礼を言わせてもらう。瀬山先生を紹介してくれて本当に助かった。あの人すげえな。霊力(ちから)はあるわ、人は良いわ、おまけにツラも良い。ただクソ真面目だ。教えてやる代わりに乱暴な言葉を使うなとか言ってよ。修行以上に大変だったぜ。けどよ、そのおかげでちったぁ、お上品になっただろ?』 えーーーーっ!? どこがぁ!? まったく変化を感じないけど、唯一思い当たる事と言えば…… さっき僕の事「テメェ」と言いかけて「おまえ」と言い直してたよねぇ。 もしかして、そこ? これで合格点を出した瀬山さんって(ハードル低っ!)……きっと優しい人なんだろうな。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加