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「爺ちゃぁぁん、うわぁぁん」
ユリちゃんが再びわんわんと泣き出した。
その声に、大和さんはこっちが引くほど狼狽えて、「ユリさんが泣き止まない! ちょっとキッチンからお菓子持ってくるっ!」と部屋を出ていってしまった。
あわてん坊だなぁ。
泣いてはいるけどユリちゃんの表情は幸せそうに笑ってるのに。
きっと大和さんの中で、女の子が泣いている!=大変だ! になっちゃったんだろう。
てか、お菓子……さすが親子、社長も前に同じ事言ってたっけ。
貴子さんとお婆さんが『良かったねぇ』と、手を取り合って泣いてる隣で先代は、「めでたい! めでたい!」と、量産した電気ツチノコを(本人曰くプードルらしいが)部屋にも庭にもまんべんなくバラ撒いていた。
バラ撒かれたツチノコ達は、陽気にファニーに踊っている、これは……お祝いの表現なのだろうか?
そして僕のマイスィートハニーこと大福は、踊る電気ツチノコを片っ端から捕まえては食べ散らかしていた。
だ、大福さん……?
もしかして、おなかすいちゃったんですかね……?
で、
「爺ちゃぁぁん! ありがとぉぉ、うわぁぁん」
泣きじゃくるユリちゃんに寄り添う孫命のお爺さんはというと……って、えぇっ!!
ちょっ!!
これはーーーーっ!!
「ユリ! 幸せになれ!」
「うん! うん!」
「ユリ、誠が好きか?」
「うん! 社長はね、爺ちゃんに似てるんだ。だから好きになったんだよ」
「そうか……そうだったのかぁ! ユリィィィィィ!」
「爺ちゃぁぁぁん!」
感極まったお爺さんは、大事な大事な孫娘の頭をしっかり胸に抱きしめていた。
____僕の身体で。
あちゃー
いやね、分かるよ?
理屈は分かるんだ。
おかしな事はなにもない。
本当の姿は70才の、しかも血の繋がったお爺さんだもん。
ただねぇ、入れ物がねぇ、30才の僕の身体ってのがマズイのよ。
その証拠に、
「オィ、コラァァァッ!! 今ッ! すぐッ! 離れやがれぇぇぇ! 俺だってそんな事してねぇのによ!! エイミーーーーッ!!」
社長が吼えた。
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