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いや社長、落ち着いてください。
一見、僕に見えますけど、中の人はお爺さんです。
本物の僕はこっち、幽体の方ですよ。
「ああ、そうか! 中身は真さんか……だけどッ! やっぱり離れろ!」
グィグィと肩で割り込み、祖父から孫を引き離した我社のトップは、「誰にもさわらせねぇからな!」とユリちゃんを胸に隠して威嚇中。
それを見たお爺さんも、「まだ入籍前だ! 気安く触るな!」とこちらも負けずに威嚇中。
でもって真ん中のユリちゃんは「社長の胸筋が……胸筋が……」と、ちょっとおかしな子になりかけていた。
「あのですね、ちょっと皆さん落ち着きましょう。僕が今おいしいお茶を淹れますから、ん? あれ? あれれ? 急須が掴めない……って、そうだ! 僕、今、幽体だったー! 」
僕が頭を抱えて悶絶していると、両手いっぱいにたくさんのお菓子を抱えた大和さんが、のっしのっしと部屋に戻ってきた。
「若い女の子が喜ぶようなお菓子がわからなくてね、たくさんの種類を今日の為に買っておいたんだ。ユリさんが気に入るものがあると良いんだけど……」
大きな座卓にどっさりと広げられたお菓子の山に、女性陣と先代と、ついでに僕の歓声が上がった。
「すごーい! こんなにたくさん! カワイイのばっかりー! あ! ママ、苺のあるよ!」
『ユリ、お母ちゃん、見て見て! お菓子が山になってる!』
『キレイだねぇ、ありがたいねぇ、東京のお菓子は違うねぇ』
「先代! 芋饅頭もありますよ! きっと大和さん、先代の好物も買っておいてくれたんですよ!」
「なんと! さすがは大和君! わかってるねぇ!」
大和さんの目には、ユリちゃん1人しか見えないだろうけど、実際は5人テンションマックスで盛り上がってますよ!
大和さん、ありがとうございます!
「清水君! 大和君にお礼を伝えてくれる? みんなすごく喜んでいるって。それから私達に『召し上がれ』って言ってちょうだい! 今日はめでたい日だもの! これからみんなで宴会するよー!」
先代の一声で、急遽お祝いの宴へとシフトした。
とはいえアルコールの代わりにお茶とお菓子だから、お茶会と言った方がしっくりくるんだけども。
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