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思業式神さん達に連れられて、藤田家のみなさんと先代と大福は黄泉の国へと旅立っていった。
ふぅ……なんとか無事に終わった。
通訳なんて言いながら、ほぼほぼ通訳なんかしていない……けど、お爺さんに身体を乗っ取られたり、乗っ取られたり、乗っ取られたりで、やっぱり濃い1日だった。
辺りはすっかり陽が落ちて、夜空には橙色の満月が浮かんでいる。
家族を見送った社長とユリちゃんは、しっかりと手を繋ぎ、福々とした満月を見上げていた。
いいなぁ、あの2人すごく幸せそうだ。
ああ、ここに大福がいてくれたらなぁ。
すっかり隣にいるのが当たり前になってしまった愛しい幽霊猫。
ぽっかりと空いた空間に鼻の奥がツンと痛む。
なんとも言えない淋しさに頭を垂れていると、
「エイミー君、これ」
控えめに僕を呼ぶ大和さんの声がした。
振り向けば、大きな手には可愛らしいお菓子が握られている。
「これを……僕に?」
「うん、なんだか淋しそうに見えたから」
「そうですか……ありがとうございます」
ファンシーな包みを開けてみると中身は小さなマカロンで、一口かじると優しい甘さが口の中いっぱいに広がった。
「おいしい……」
「そう、良かった。……エイミー君、今日はありがとうね。またいつでも遊びに来てね」
そう言って笑う大和さんは、「良い一日だった」と鼻歌混じりに縁側に腰を掛けた。
僕も大和さんにならい隣に腰掛ける。
夜空に浮かぶ満月は穏やかに光り、優しく僕らを照らしてくれる。
いつになく、静かな夜だった。
霊媒師 清水誠__了
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