第十四章 霊媒師 ジャッキー

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ノロケ9割、説明1割の割合で結婚報告をする社長の前で、糸の切れたフィギュアと化したジャッキーさんは、あまりの落ち込みで再起動に時間がかかっていた。 相変わらず机に突っ伏したまま、 『もーどーでもいーやー』とか、 『やる気無くしたー』とか、 『老後は独りかー』とか、 社長とユリちゃんをチラチラ視ながらクダを巻いていた……のだが、 「そんなに凹むなよ、今度みんなでジャッキーん()に遊びにいってやるからよ。キーマンに美味いモンでも作ってもらおうぜ」 社長のこの言葉で、なんとか復活。 再起動がかけられた。 その間、なんやかんやと10分経過。 いまだ依頼者へのコールバックもしていないこの状況はいかがなものかと思うのですが。 「あのう……みなさん? そろそろ依頼者に一報入れて出発した方がいいんじゃないですかね? 5分で来いって言うような人だから温度高めだと思うんですが……」 「「「「 あ 」」」」 間の抜けた返事が重なった次の瞬間、動きは早かった。 「S市なら裏道通れば電車より車の方が早いな。ヨシ、おまえら今日は車で行け。ミューズ運転頼む。それからエイミーはユリから詳しい内容聞いといてくれ。依頼者とのやり取りはエイミーがやるんだ。ジャッキーは何か持っていきたいアイテムはあるか? あるなら俺がまとめてやる。ただし依頼者へのコールバックが済んでからだ」 それから更に15分後。 水渦(みうず)さんの運転する社用車に乗り込んだ僕達は、神奈川県S市に向かって走り出していた。
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