第十四章 霊媒師 ジャッキー

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「どうしましょう?」と先輩霊媒師2人にお伺いを立てる。 さっきの電話では詳しい事は何ひとつ聞けていない。 『そうねぇ』と、考え込んでいたジャッキーさんが僕の肩に立ち上がった。 『黒十字さんは相当怖がっていた様子だったんだよね? 加えて電話が切れる直前、“助けて”と叫んでいたと……それなら行くしかないよ。家の中には入るなと言ってたみたいだけど、そうも言ってられない状況だ』 言いながらジャッキーさんは、水渦(みうず)さんに目配せをし、彼女はその視線を無表情に受け止めた。 で、スタスタと門柱まで進むと、なんの躊躇いも無く____ ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!! インターフォンを連打、連打、ひたすら連打し始めた!! 「水渦(みうず)さん、なにやってんすかーッ! 鳴らしすぎぃッ!」 小学生のイタズラよりタチ悪いわ! おうちの人ビックリしちゃうわ! 慌てて止める僕にシレっと振り向き、 「リーダーの指示です」 と涼しい顔で反省の色は無い。 入れ物がフィギュアゆえに顔はガッツリ笑っているけど、困った口調のジャッキーさんは、 『いや……うん、まあ、目配せだけで分かってもらえて嬉しいけど、そこまで鳴らさなくても良かったんだよ?』 とだけ答えると、その後なにやらカウントを取り始めた。 ジャッキーフィギュアに時計がついていない事から、おそらく自宅の本体が時計を見ているのだろう。 『……30秒、40秒、50秒……これで1分か。おそらくお母様はお留守なのだろうね。家事などで手が離せない事を考慮しても、あれだけインターフォンが鳴って応対しないのはおかしいもの。仕方がない、非常事態だ。玄関口でお声掛けをしてから家の中におじゃましようか』 家の中に!? 大丈夫かな? それって不法侵入になっちゃうんじゃ……と躊躇する僕を置いて、水渦(みうず)さんは門扉を開けるとさっさと敷地内へと入っていった。
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