第十四章 霊媒師 ジャッキー

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「ご無事でなによりでございます。我々が来たからにはもう大丈夫です。ご安心ください。改めまして株式会社おくりびから参りました私、岡村と、女性スタッフが小野坂、そして小野坂の足元にいるのがリーダーの、」 ガンッ!! ご挨拶の途中、突如聞こえたのは天井からの謎の音。 同時、 「「ヒィィィィィィッ!!」」 僕と黒十字様の声が重なった。 数瞬の沈黙。 頭を抱えていた黒十字様が顔を上げる。 そして深い疑惑の目を僕に向けた。 「…………岡村さん、あんた今、悲鳴上げなかったか?」 それまで救世主を見るような目で僕を見ていたと言うのに、一気に不信感が高まったのが分かる。 や、やっちまった……! だって急に音がして怖かったんだもん! けど今のは非常にまずい。 助けに来た霊媒師がヘタレでは黒十字様を不安にさせてしまう。 まあ実際ヘタレなんだけど、霊媒師を名乗るからには依頼者を安心させ、信頼してもらわなくてはいけない。 なので、 「黒十字様、確かに私は今悲鳴を上げました。ですがこれは恐怖からくるものではございません。黒十字様のお心に共鳴したのでございます。共鳴する事により、一層黒十字様に寄り添う事ができるのです」 ここ一番、真剣な顔で言ってみた。 てか共鳴ってなんだよ、さすがにこれは無理があるか……? 「共鳴……? 本当か? なんか怪しくないか? だって、」 僕の苦し紛れの言い訳に黒十字様は、これでもかと眉をひそめている。 や、やっぱりダメか!? だよねぇ! 共鳴で霊媒師も悲鳴上げるとか、自分で言ってて訳わかんないもん! と焦りまくっていたその時、 ガンッ!! ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!! クローゼットの壁の向こう側……は、外なのに、もっと言うならココは2階なのに、まるで沢山の人達が一斉に外壁を叩いているような音がした! 「ぎゃぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」 きゃぁぁぁぁぁぁああああああああ!!! その怪奇な音に再び悲鳴を上げる黒十字様の隣で、僕は喉まで出かかった悲鳴を呑み込む事に成功! さらに霊媒師にあるまじき、幽霊にビビった顔を見せない為に、震える黒十字様の身体に覆いかぶさった! 僕が身を挺して黒十字様を庇ったと誤解してくれますよーに!
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