第十四章 霊媒師 ジャッキー

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「もう怖くて怖くて……昨日は部屋に鍵までかけたのに、背後でカチャって音がしてギィィィって開いたんだよ……この家には俺しかいないのにさぁ……そっからもう必死に祓い屋を検索して見つけたのが……岡村さんトコのこもれびさんだったんだ。……ああ、それと……あの子。電話に出てくれた女の子に謝っておいてくれ。俺、無理言ったし、大声も出しちゃって……悪かったと思ってる」 黒十字様、本当は危なかったんですよ。 妻命のウチの社長はアナタをミンチにする気満々でしたから。 それはさておき……話を聞くと相当激しいポ現のようだけど、黒十字様宅(ここ)に来てから、クローゼットの中で聞いたラップ音以外まだ聞いていない。 「黒十字様、今はラップ音がしませんが、時間帯によって音が止むといった事はございますか?」 僕の質問に黒十字様は首を傾げ考え込むも、いつも時間はバラバラだから、なんとも言えない……が、今日は静かだと言う。 「黒十字様、3巻ください」 しれっと続巻を要求するのは水渦(みうず)さんだ。 まだ読んでたんかい。 「いいよ! この漫画おもしろいよね! 分かってくれる人がいるのはイイもんだなぁ」 これも、それからこっちもオススメだよ! と、水渦(みうず)さんの前にどんどん漫画を積み上げる黒十字様の顔は本当に嬉しそうだった。 『今は……この部屋と周辺に霊の気配を感じないね』 漫画に夢中な水渦(みうず)さんは放っておくとして、僕はリーダーの声に耳を傾けた。 言われてみれば、クローゼットの中で感じた、壁の向こう側に何十人もの人がいるような気配はない。 僕は行きの車の中で聞いた、ジャッキーさんのポ現鎮静化の手順を思い出していた。 ____もしかしたらポ現の霊達は、霊媒師の僕らがいる間、隠れて出てこない可能性がある。 ____その時はね、こちらから見つけに行くんだ。 「ジャッキーさん、僕らから仕掛けるんですよね?」 湾曲させた手の中に、赤い電流(ひかり)を溜めこんだ僕は、いつでもスタンバイOKですとリーダーに告げた。 『頼もしいね。期待の新人さんのお手並み拝見といこうじゃないか』 両手を高く上げ、ダブルで親指を立てるジャッキーさんを失望させる訳にはいかない。 “放電しかできない期待の新人エイミー”の、うっとりするよな電撃を視せてやるッ!
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