第十四章 霊媒師 ジャッキー

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生者と死者。 他の霊媒師が目視だけで判別できる幽霊を、僕は見分ける事ができない。 良すぎる目(・・・・・)が、死者も生者と同じに映してしまうのが原因だ。 そんな僕は、生者と死者を見分ける為に放電をする。 相手が死者であれば、放った電流は僕と幽霊の両間を繋いで離さないからだ。 今までそうやって見分けてきた事をリーダーに告げると、 ____せっかくだから、応用してみよっか。 と言う提案をいただいて、生者と死者の切り分け以外に使う事になったのだ。 初めての試みでうまくいくかどうかは分からない。 それでもやってみたいと思った。 失敗したって先輩霊媒師がカバーしてくれる、最後のOJTなんだもの。 こんなチャンスはもうないだろうしね。 ソフトボール大の電気の球が手の中で発光している。 溜めに溜めたエネルギーが飛散しないよう、細心の注意をはらう。 電気を溜める丸めた手のひらが、超高炭酸水に浸したように痺れ始めると、額にじんわりと汗が浮かび体温の上昇が始まった。 どうか上手くいきますように、どうか成功しますように……緊張からか、そう願えば願う程、僕の心臓は駆け出すように早まった。 更に電気を溜め続けると、手のひらが____いや、腕全体がビリビリと痺れガクガクと震えだした。 そろそろか……? 僕の霊力(ちから)で支える事ができる電気量の限界が近い。 もう少し……あと少し……だけどここで欲張れば、せっかく溜めた電気(エネルギー)を支えきれず無駄に飛散させてしまう危険性がある。 タイミングの見極めが難しい。 「くッ……!」 成長するエネルギーに押され、腕だけではなく上半身がブレ始めた。 もういいかな……? どうかな……? と迷っていると、 『エイミーさん! 今だよ!』 ジャッキーさんの声が脳内に響いた。
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