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「結んでいたのは“増幅の印”です。これで今から30分、私の霊力は通常の3倍です。この霊力をそのまま岡村さんに流します」
通常の3倍……どこかの赤い彗星みたいなアノ印だ……!
スゴイッ!
人の恋路を霊視したあの日と同じだ!
肩に置かれた水渦さんの手がめっちゃ熱いよ!
ものすごい霊力が流れ込んでくるのがわかる!
僕は水渦さんからもらった霊力で、がぜん元気を取り戻した。
今なら社長にだって勝てる気が……いや、それは無理か。
ともかく、手の中で暴れる電気の塊を、もっと強い霊力で押さえつけた。
そして銅線と同等な僕の左右の両五指を難なく近づけ、
「水渦さん、ありがとうございます! ジャッキーさん、お待たせしました!
これからショートさせますね!」
と声を張った。
『いやぁ良かった……ちょっとハラハラしたよ』
固定された笑顔からは程遠い、疲労を含んだ声色に「僕の霊力不足です」と答えるも、
『いや……逆だよ、放電量が桁違いだからさぁ。だけどチームプレイで乗り切ったね。じゃあ、今度こそいってみようか。バチンとショートさせちゃって!』
と親指を立てた。
「はい!」
湾曲させた手のひらの広げた両五指、左右ゆっくりと近づけていく。
指先が接触すれば、莫大なエネルギーが激しく流れ、手の中の電気球に直撃する____チャンスはその一瞬だ。
手の中の電気球はいわば僕の霊力そのもの。
だが今は、シンプルに丸めただけのただの球体だ。
これを役立つツールに変化させる……そう、社長の思業式神のように、水渦さんの蒼い矢のように。
これから隠れた霊を捕まえる為に、僕の霊力を具現化させるのだ。
捕獲のイメージを頭の中で繰り返し、それをショートのタイミングで流し込めば、ただの球体はツールへと進化するとリーダーから教わった。
とは言え……これまで誰かを捕まえよう、追い込もう、などと考えた事もない僕に具体的なイメージは難しい。
ただただ捕獲したいという思いだけを募らせた。
このイメージがどう形を変えるのか、形を変えた電気球がどう動いてくれるのか、初めての事でまったく予想がつかないが、その答えはもうすぐ出ようとしていた。
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