第十四章 霊媒師 ジャッキー

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左右の指先が触れるまであと5cm、4cm、3、2、1____ バチバチッ!!! ゼロ距離と同時。 無事ショートした電気球は第二形態へと進化した。 大きな電気(エネルギー)を得た手の中の球体は、中心の核から幾百もの長い鎖を生み出して、それらすべて360度全方位、獲物を捕らえるべく速度を持って宙を飛ぶ。 やった……! 変化した……! ただの電気球がゴッツイ鎖に変わったよ……! これって成功したって事でいいんだよね……? もう自分が一番驚いちゃってるんですけど……! あとはこの鎖が幽霊達を捕まえてくれるのを祈るだけだ。 どうかうまくいくいきますように……! 「増幅の印は、あと24分有効です」 僕の肩に手を置いたままの水渦(みうず)さんは時計を見ながらそう言った。 『なに、24分もあれば充分でしょう。それからエイミーさん、鎖が出ている大元の赤い核だけど、それ最後までちゃんと持っていてね。慣れないうちは術者の手を離れると鎖も消えちゃうから』 ジャッキーさんは無数の鎖の親玉、電気球を覗き込みながら注意をしてくれた。 初心者は手を離すと鎖も消えちゃうんだ……気を付けなくちゃ。 ここまでやって、「てへ、消えちゃいました!」じゃシャレにならない。 それにしても、だ。 「ジャッキーさん、なんで今回、鎖なんですかねぇ?」 僕の手の中、赤黒い核からゴッツイ鎖が蛇のようにうねっている。 なんかもう禍々しいんですが、コレ僕が出したんだよねぇ? 『さぁ、こればっかりは術者のセンスというか、潜在意識が生んだというか、霊力の具現化は十人十色だから』 そう言えば……前に社長が会社の結界を張っていた時、僕の目の前で大きな赤い竜を飛ばしてたっけ。 社長のセンスから考えると、竜を出しちゃうのは納得がいくけれど(社長にそっくりな思業式神もね)僕が出すならまず猫じゃない? なんだってゴツゴツの鎖なんだろう? まぁ、幽霊を捕まえるぞーって気合い入れてたから、頭のどこかに縄とか手錠とかそういったモノが浮かんだのかもしれないな。 『なんで鎖かは分からないけど、これで隠れている霊達を捕まえる事ができるよ。後は釣りと同じ要領だ。隠れた幽霊が鎖に引っ掛かったら……一気に釣り上げる! 鎖は数百本、宅内から宅外まで、どこにいたって絶対に逃がさないからね……!』
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