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「岡村さん、残り時間はあと10秒です」
水渦さんの低い声。
いよいよカウントダウンが始まった。
あと10秒しかないのか!
カッコつけてる場合じゃなかったよ!
30分なんて、あっという間に終わっちゃうな!
「水渦さん! あと30秒くらい追加サービスできませんか!? もう一本、鎖が引いてるんです! 力は弱いけど幽霊を捕まえたっぽくて、」
大きな霊力を持った赤黒い核。
自分でこさえたモノだけど、水渦さんの霊力無しでは支える自信がない。
このままでは捕獲しかけた最後の幽霊を逃してしまう。
「あと30秒、ですか」
この反応……すぐに否定しないって事は、多少の延長は可能かもしれないぞ!
さすがは手練れの霊媒師!
性格はメンドクサイけど霊力は確かなのよね!
水渦さん、本当に助かります!
30秒あれば最後の幽霊を捕まえる事ができるかと思、
「無理です、延長は出来ません」
えっ!?
ダメなの!?
「残り時間3秒,2秒,1秒____終了です」
僕の肩から水渦さんの手が降りた。
霊力の補助を失ったのと同時、核とそこから出る無数の鎖の重みが増した。
「ヤバッ……!!」
耐えきれない重量に僕の腕がガクンと沈む。
核はまだ、かろうじて手の中にあるけれど、このまま持ち続けるのは難しい。
落としてしまうのは時間の問題だろう。
____鎖が出ている大元の赤い核だけど、
____それ最後までちゃんと持っていてね、
____術者の手を離れると鎖も消えちゃうから、
ジャッキーさんの忠告が頭の中に繰り返された。
せっかくポ現容疑者達を捕まえたというのに、このままいけば核も幽霊を縛る鎖も、みんな一緒に消えてしまう。
そうなれば幽霊達は一目散に逃げてしまうだろう。
水渦さんとジャッキーさんの仕事が、協力が、無駄になってしまう。
そんなのはイヤだ。
2人の足を引っ張りたくない。
黒十字様を助けたい。
それに僕だって頑張ったんだ。
それなのに……ここまで来て……そんな事……そんな事……させてたまるかぁぁぁぁっ!
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