第十四章 霊媒師 ジャッキー

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「岡村さん、残り時間はあと10秒です」 水渦(みうず)さんの低い声。 いよいよカウントダウンが始まった。 あと10秒しかないのか! カッコつけてる場合じゃなかったよ! 30分なんて、あっという間に終わっちゃうな! 「水渦(みうず)さん! あと30秒くらい追加サービスできませんか!? もう一本、鎖が引いてるんです! 力は弱いけど幽霊を捕まえたっぽくて、」 大きな霊力(ちから)を持った赤黒い核。 自分でこさえたモノだけど、水渦(みうず)さんの霊力(ちから)無しでは支える自信がない。 このままでは捕獲しかけた最後の幽霊を逃してしまう。 「あと30秒、ですか」 この反応……すぐに否定しないって事は、多少の延長は可能かもしれないぞ! さすがは手練れの霊媒師! 性格はメンドクサイけど霊力(うで)は確かなのよね! 水渦(みうず)さん、本当に助かります! 30秒あれば最後の幽霊を捕まえる事ができるかと思、 「無理です、延長は出来ません」 えっ!? ダメなの!? 「残り時間3秒,2秒,1秒____終了です」 僕の肩から水渦(みうず)さんの手が降りた。 霊力(ちから)の補助を失ったのと同時、核とそこから出る無数の鎖の重みが増した。 「ヤバッ……!!」 耐えきれない重量に僕の腕がガクンと沈む。 核はまだ、かろうじて手の中にあるけれど、このまま持ち続けるのは難しい。 落としてしまうのは時間の問題だろう。 ____鎖が出ている大元の赤い核だけど、 ____それ最後までちゃんと持っていてね、 ____術者の手を離れると鎖も消えちゃうから、 ジャッキーさんの忠告が頭の中に繰り返された。 せっかくポ現容疑者達を捕まえたというのに、このままいけば核も幽霊を縛る鎖も、みんな一緒に消えてしまう。 そうなれば幽霊達は一目散に逃げてしまうだろう。 水渦(みうず)さんとジャッキーさんの仕事が、協力が、無駄になってしまう。 そんなのはイヤだ。 2人の足を引っ張りたくない。 黒十字様を助けたい。 それに僕だって頑張ったんだ。 それなのに……ここまで来て……そんな事……そんな事……させてたまるかぁぁぁぁっ!
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