第十四章 霊媒師 ジャッキー

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◆ 1、2、3、4……総勢24人のポ現容疑者達が、部屋の1ヵ所に集められた。 だが、物が多くゴミが散乱する狭い部屋ゆえ、横一列とはいかない。 団体様の幽霊達は、バラエティ番組の芸人よろしく、体育座りの前列、起立の中列、浮遊の後列と、雛壇形式に配置された。 もちろん誘導は我らがリーダー、ジャッキーさんだ。 『みなさーん、キレイに並んでいただいた所で、これから話し合いを始めまーす! 我々からの質問にお答えいただく時とー、みなさんからの発言の時はー、必ず挙手をしてからお願いしまーす! それとー、今からみなさんを拘束する鎖を外しますがー、外した途端逃げるのはナシでーす! ウチには矢の名手がいますからー、お互いに嫌な思いをしない為にもー、ご協力お願いしまーす!』 にこやかに説明するジャッキーさんの斜め後ろ、能面のような水渦(みうず)さんは瞬きもせずに幽霊達(かれら)を凝視している。 その鋭い視線は、スイスに口座を持つあの有名スナイパーにも匹敵し、もし逃亡を図る幽霊(もの)がいようものなら『秒で射撃します』と無言の圧をかけていた。 ジャッキーさんが跳躍でひとっ飛び。 手の上に核を乗せたまま、動けない僕の元へとやってきた。 『聞いての通り、幽霊達(かれら)の拘束を解こうと思います。エイミーさん、核から手を離していただけますか? そうすれば核も鎖もみんな一度に消えますので。大変だったでしょう? まずはおつかれさまでした。初めてなのによく頑張りましたね』 ジャッキーさんの優しい笑顔にホッとした(固定だけど)。 水渦(みうず)さんの助けが大きかったけど、どうにかこうにかやりきった。 先輩方の足を引っ張らずに済んで本当に良かったよ。 ジャッキーさんのお許しが出たトコで、核からゆっくり手を引くと、それまで輝いていた球体は徐々に光を弱めていく。 眠気に負けて瞼が落ちていくように、幾度かの遅い明滅を繰り返した後、役目を終えた鎖もろとも姿を消した。 鎖の拘束から解放された幽霊達は、それぞれ自身の幽体(からだ)を擦りつつ、安堵の息を吐き合っていた。
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