第十四章 霊媒師 ジャッキー

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◆ ジャッキーさんのリュックからアイテムの取り出しを頼まれた。 ベテラン霊媒師が持ち込むアイテムとはどんなモノなのか。 ずっと気になっていた僕は、内心ワクワクしながらジッパーを開けた。 『透明な袋に小分けにしてあるんだけど、わかるかな?』 言われたまま小袋を出してみると……あ、お菓子だ! 中身は煎餅、チョコレート、裂きイカにスコーン等々(小袋は全部で6袋、いっぱいあるな……!)。 組み合わせとしては、甘いのとしょっぱいのが両方入っているのだが……これは危険だ。 甘いしょっぱいを交互にいけば、永遠に食べれちゃうもの。 『エイミーさんは、さっきので相当霊力(ちから)を使ったから空腹でしょう? このままだと貧血になりますから食べてください。水渦(みうず)さんと黒十字様もよかったらどうぞ』 確かに、霊力(ちから)を使うとカロリーを消費するから、激しい空腹感に襲われるんだけど……これって、僕らの為に用意してくれたんだよね。 ジャッキーさんに必要なアイテムには、部下を労わるモノも含まれているという事か。 しかも僕一人では食べにくいだろうと、水渦(みうず)さんや黒十字様にも勧めてくれて……ジャッキーさんって気遣いの人なんだな。 ありがとうございます。 リーダー、遠慮なく頂きますね。 『それと、もう1つ。リュックの内ポケットに自分の頭部が(・・・・・・)いっぱい入ってるから、その中の……』 頼まれたのは、ジャッキー・〇ェンフィギュアの付け替え頭部だ。 一般的に少々お高めのフィギュアだと、後から付け替えられるように表情違いの頭部かセットになっている。 デフォルトが笑顔なら、予備は怒り顔といったように、その日の気分によって変更可能なのだ。 大量の付け替え頭部の中から(パッと見ちょっとグロイ)【反省】と書かれた付箋紙付き、八の字眉の困り顔を指定された。 『いやぁ……さっきはレキナの話に興奮してしまってねぇ。ついつい床を踏み鳴らしてしまった。ポ現鎮静化でお伺いして、自分がポ現してどうするんだって話だよ。リーダー、いや霊媒師失格だね……ははは……反省してます』 言いながら、上げた両手で【笑顔】頭部をグキッともぎ取ったジャッキーさんは、慣れた手付きで今度は【反省】頭部をガキョッと押し込んだ。 その一連の流れに若干怖いと思ったのがバレないように、ジャッキーさんから頂いたチョコレートをポイポイ口に放り込んだ……あ、おいしい!
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