第十四章 霊媒師 ジャッキー

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確実なのは、もう1度鎖で探せば良いんだろうけど、さっきので霊力(ちから)をたくさん使ってしまったからなぁ。 しばらく休まないと霊力を練れそうにない。 さて、どうしたものか。 腕を組みウンウンと唸る僕の後ろでは、幽霊達がレキナ話に花を咲かせ、またもやドタバタ騒がしくなってきた。 イカンな、僕ら霊媒師はともかく黒十字様は怖がってしまう。 少し静かにしていただかないと。 「みなさーん、盛り上がってるトコ申し訳ないですが、あんまりうるさくしちゃダメですよー」 僕の注意に大袈裟に慌てる幽霊達は、『そうだった!』『しーー!』『お静かに、ですぞ!』と、ふざけ合っている。 はぁ……この雰囲気覚えがあるぞ。 小学、中学くらいの頃、先生不在の自習時間がこんな感じだった。 「だからー! 僕はみなさんに静かにしてくださいと言っていますよー! わかりますかー?」 2回目の注意で、どうにかお喋りがとまってくれた。 この静かさはどのくらいもつのだろう。 とりあえず静かな今のうちに、25人目の幽霊を確保する鎖以外の代案を考えたい。 ジャッキーさんと水渦(みうず)さんと3人で話し合えば良い案が浮かぶはずだ。 と、その時。 ギギギギギ…… ん? なにこの音。 ははーん、また幽霊達(みんな)のテンションがあがってきたんだな? まだ数分しかたってないじゃないか。 いい加減にしないと、僕、怒っちゃいますよ……って、あれ? 幽霊達は、ジャッキーさんがスイッチオンしたレキナDVDに夢中で、騒いでる幽霊(ひと)は1人もいない(今はね)。 じゃあ今の音はなに? ギギイィィィィ…… ジャッキーさんも水渦(みうず)さんもまだ気が付いていない。 僕は音のする後方に目をやると、黒十字様の部屋のドアがゆっくりと開くのが視えた。
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