第十四章 霊媒師 ジャッキー

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「ジャッキーさん……水渦(みうず)さん……ちょっと後ろ見てもらえます……? ドアが……ドアがね……誰か向こうにいるみたいで……」 霊媒師らしからぬ、僕のビビリっぷりとは真逆な2人が「ドア?」と、それぞれ軽い調子で振り返った。 ギギギィ……ギ、ギ、ギ、 ____はぁ、はぁ、 ……!! なにこの息遣い……変態の方……? ギギィ……ギ、ギ、 ____ふぅ、もうちょっと、 普通に喋ってる……? 変態の方ではないみたいだけど…… ギ、ギ、ギッ、 ____はわわ! なにかが引っ掛かってドアが開かないのです! ____お兄さまぁ! お姉さまぁ! 開けてくださいなのですぅ! ______誰も気が付かないよぉ……グス……グス…… ____ダイジョウブだもん、ひとりでできるもん、  ____にぃに、待っててくださいなのですぅぅ! 15センチほど開いたドアから漏れ聞こえてくるのは、舌足らずな女の子の声だった。 その喋り方は幼さが残る。 散乱するモノとゴミに阻まれたドアを開けるのに苦戦しているようだ。 しかし、めっちゃカワイイ声と喋り方だな。 これが萌えというモノなのだろうか? 高いキーのキャンデーボイス。 初めて間近で聞いたけど……良い! これは猫に好かれる声域だ(猫は高い声が好き)。 僕の左にいるジャッキーさんは、【反省】頭部をグキッともぎ取ると、超マッハで【笑顔】頭部をガキョッと押し込み、なにやらカッコつけたポーズをとり始めた。 リーダー、わかりやすすぎです。 萌え声、大好きなんだろうな、きっと。 で、 僕の右いる水渦(みうず)さんはというと、眉間にめり込むほどのシワを寄せ、右手五指に鋭利な稲妻を走らせている。 コレ、いつでも撃てる体勢だろ。 萌え声と甘えた喋り方が気に入らないんだろうな、きっと。 人の好みはそれぞれだけど、間違ってもいきなり撃ったりしないでくださいね。 ハイ、僕と約束!
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