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だが、ミニ丈のスカートから伸びる足は、上半身のかわいらさを完全に打ち消していた。
針で突けばはち切れそうに腫れあがったふくらはぎは真っ赤な薄皮一枚で、その上には歪んだ形の水ぶくれがびっしりと張り付いている。
元は細かったであろうその足は、痛々く巨大化していたのだ。
この傷は……火傷だよね。
生前、なんらかの事故で負った傷なのだろうか?
女の子は黙る僕を、キョトンとした顔で見詰めているけど、痛くはないのかな……?
叫びそうになったくらいの重傷に、正直なんて言っていいのかわからなかった。
『エイミーさん、』
不意に声を掛けられ、我に返った僕は後ろ下に振り返る。
そこに立つジャッキーさんも顔は笑顔で固定だが、僕同様、微妙な空気を出していた。
「ジャッキーさん、この子ケガしてます。足がこんなに膨れてしまって。火傷……ですよね」
『足……? あ……ダイジョウブなのですよ! 今は痛くないのです!』
健気に大丈夫だとこの幽霊は言うけど、これは大丈夫じゃないだろう。
あまりジロジロ視てはいけないと思いつつも、目はどうしても下に向いてしまう。
『そうだねぇ。かわいそうに、ひどい火傷だ。水ぶくれがこんなにたくさん……生前なにか事故にでもあったのかな……痛かっただろうに、』
『水ぶくれ……キモチワルイですか……? だけどホントに痛くないのです! すごーく元気なのです!』
ジャッキーさんの身長だと、ちょうど女の子のふくらはぎが目の前に来る。
痛々しい水ぶくれに手を伸ばすも、途中で止めて後ろに組んだ。
いくらフィギュアの身体とは言え、女の子の足に触るのはいかがなものか……と自粛したのだろう。
「痛がってはないみたいだけど、このままにしておけないよ……あ、そうだ。癒しの言霊なら治せるかな? 前に1度、ウチの飼い猫又に使ったコトがあるんです。ここまで重傷だと僕の霊力で治せるか自信はないけど、やらないよりマシじゃないかと、」
『ホントにダイジョウブなのです……あんま視ないでほしいのです……恥ずかしいのです……』
幸い、今は痛がったりとか歩けないとか、そういった支障は無いようだけど、女の子にこの火傷は気の毒だ。
どうにかキレイにしてあげられないか、僕とジャッキーさんは男2人、あーでもないこーでもないと知恵を絞り合っていた。
そんな僕達の会話をずっと聞いていた女の子は、最初に比べるとすっかり大人しくなっていた。
開かないドアと格闘していた時の元気さが無くなり、小さな花が萎れるように、床に向かって頭を垂らすと、その場に座り込み身体を強張らせてしまった。
どうしたの……?
もしかして疲れちゃったのかな?
それとも大人だけで話をしてるから退屈なのかな?
なにか声を掛けなくちゃと口を開きかけたタイミングで、我社の毒舌番長、水渦さんが強引に割り込んできた。
すこぶる不機嫌な顔である。
まさか……
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