第十四章 霊媒師 ジャッキー

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『お嬢の足は、この家で初めて会った……あれは2月の始めだったか、その時は火傷の傷はありませんでした』 「2月? 先程の話だと、絵里さんはピンクバンダーさんがここに来る前から、いらしたと聞きましたが」 「顔を合わせるまでタイムラグがありました。吾輩が去年の12月からこの部屋に住むようになってから、お嬢はずっと隠れていたのであります。お嬢は……なんと言うか、その、吾輩を怖がって出て来なくって……ほら、ちょっと人より身体が大きいから』 滝汗でこめかみをポリポリ掻くピンクバンダー氏。 水渦(みうず)さんは、片眉をクイっと上げて首を傾げている。 「そういえば……ピンクバンダーさんはなにかスポーツをされていたのですか? インドアと思われがちな趣味の割には格闘家のような体躯ですよね?」 『吾輩、20才を越えたあたりから柔道を習い始めたのであります。生前、よくオタク狩りに遭っていたので護身の為に。普段はコッテコテのオタクなのですが、一般人相手の時は舐められないようヤンキーにジョブチェンジするのでありますッ!』 ああ、さっきのブラックピンクバンダー氏は(黒とかピンクとかややこしいな)、ジョブチェンジ後だったのね。 てか変わりすぎだろ、オイ。 『お嬢が出てきてくれたのは、ムーンラビット氏を呼んでしばらくしてからです。ムーンラビット氏はガリヒョロだから怖くなかったのでしょう。ツインテセーラー服が可愛いくて優しそうなオジサンだから、話してみたかったと言ってました。吾輩だって優しいのに! ……おっと失礼。いやぁ、初めてお嬢に逢った時の衝撃は今でも覚えていますぞ! ふわふわドレスの美少女キターーーー!! 細い御御足(おみあし)に、フリルのくるぶしソックスーーーー!! 女神降臨ーーーー!! 姫降臨ーーーー!! ってね、デュフフフフ……!』
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