第十四章 霊媒師 ジャッキー

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スカートの裾を両手で摘まみ、お姫様のような仕草で首を傾げる絵里ちゃんは、立ちはだかるピンクバンダー氏の横を通り抜ける。 万事休すか……! どうしよう! ココは二番手として僕が出るべきか? そう思いつつ若干の躊躇で二の足を踏んでいたら、 『ジャッキー、行きまーす!!』 タタタタタと助走をつけたリーダーが、床を蹴りあげ華麗なバク宙を披露しながら絵里ちゃんの前に降り立った。 『きゃっ!』 『先程は失礼しました、お姫様。自分、ピンクバンダー氏の友人でジャッキーと申します』 なんだかんだと、ようやく1対1で話ができて嬉しそうである。 『お兄さまのお友達? それなら絵里ともお友達ですね。どうぞよろしくなのです』 ズキューーーーーン!! おーおー、やられとる、やられとる。 絵里ちゃんのカワイさにデレデレですよ。 だが悲しいかな、年齢差が39もあるがゆえイマイチ話が続かない。 9才の女の子に腰痛の話は通じないのだ。 一通りアニメの話をしたらネタが尽きてしまった。 で、 『ジャッキー兄さま、絵里はそろそろ嫁になりに行くのです。ごきげんよう』 自分よりも小さなジャッキーさんを、難なく避けて歩き出す絵里ちゃんに、いよいよ僕の番だと気合を入れた。 大丈夫だ、待っている間になにを話すか考えておいたんだ。 年齢性別、生死も超えて盛り上がるネタと言えば、そう、猫しかない! 猫の話題なら不眠不休で一生死ぬまで喋っていられる。 言っておくがモノのたとえではない、リアルにだ。 「絵里ちゃん、猫は好きかい? 僕と一緒に猫について語り合おう!」 爽やかに手を上げた僕だったが、『ごめんなさいなのです、絵里はウサギ派なのです』と瞬殺されてしまった……秒じゃん! マズイぞ……! 3人連続で突破されてしまった……だけど、まだ水渦(みうず)さんがいる! あとは託すしかない!
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