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最初は霊媒師3人とピンクバンダー氏だけだった円陣が、人数が増えた分だけ大きく広がった。
絵里ちゃんを悪霊化させない為に、他の幽霊達にも事情を話したのだ。
『そんな……信じられませんぞ……!』
『だが霊媒師殿の言う通りでござる。お嬢の火傷は前より広がったのでござるよ』
『可哀そうなガキんちょネ。おい霊媒師、火傷を私に移すコトできないカ?』
『サンタマリアの名において……なんとしてもお助けいたします』
『もう絶対に憑依はさせないんだから!』
『ボソボソボソ……ボソ……ボソボソボソボソ……ボソボソボソボソ……!』
『お嬢の為なら何でもします。どうか助けてやっていただきたい』
顔は真剣そのもので、一糸乱れぬ協力体勢だ。
ザワつく輪の中心でジャッキーさんが声を上げた。
『絵里ちゃんを悪霊化させない為にはまず回復です。腹部までの火傷を出来る限り治す事で、身体全体に広がるまでの時間を遅らせる事ができる。という事でエイミーさん、頼みます』
呼ばれた僕は、幽霊達の歓声を受けながら立ち上がり、絵里ちゃんの前に立った。
ジャッキーさんから高カロリーのお菓子をいただいたおかげで、だいぶ霊力が戻ってきてる。
100%とはいかないが60…いや70%は固いのではないだろうか?
さっそく僕は目を閉じ、湾曲させた両手に霊力を溜めていく。
溜めるのはいつもの赤色ではなく、大福の毛並みのような雪色だ。
対象者を救いたい、そう強く願うとオートで霊力が切り替わる。
充分電気が溜まったらケガをした人を光で包み、僕だけの癒しの言霊を唱えれば……回復霊術が発動するのだ。
以前、気を失った大福を言霊で回復させた事があるのだが、それ以来、術を使う機会がなかった(だってまわりは丈夫な人ばっかりなんだもの)。
少々ブランクがあるけど、まだこれで2回目だけど、お願い!
どうか治せますように……!
全回復を祈りながら、溜まった白光で絵里ちゃんを包む。
目が眩むほどに輝度が上がると、少女の輪郭が徐々に光に消えていく____
____もういいだろう、癒しの言霊を唱える時がきた。
「痛いの痛いの、宇宙の彼方に飛んでいけーっ!」
ママン!?
ギャラリーがどよめいた。
や、ちょ、恥ずかしいから、そんなに視ないでくださいて。
あ……来た、この感覚だ。
言霊に反応して、一層の光と温泉に浸かったような温かさが増していく。
眩い光の中、輪郭を溶かした絵里ちゃんの『はわぁ……あったかいのですぅ』と寝落ち寸前のような声だけが聞こえてきた。
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