第十四章 霊媒師 ジャッキー

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◆ 『ホントにホントなのですか……? これからも絵里と一緒にいてくれるのですか……?』 付き添いの大人24人に囲まれた絵里ちゃんは、フリルのスカートをモミモミしながら何度も同じ質問を繰り返し、幽霊達は問われた数だけ飽きもせず答えていた。 みんな分かっているのだ。 彼女が同じ質問を繰り返す理由を。 ____本当は幽霊達(みんな)と離れたくない、 ____本当は1人になるのはイヤだ、 ____本当は一緒に成仏してほしい、 ____だけどそんな事を言ったら迷惑だ、 沁みついた我慢癖は切望を押し殺し、独りで逝く事を選択させた。 それがどうだろう? 血の繋がらない兄さま姉さまは、年の離れた妹の為なら黒十字様の部屋という聖地を捨てていいと言う。 母親やオジサンが命じるなら、どんなに嫌な事でも受け入れるしかなかったのに。 自分の為に他の誰かが何かを我慢するなど、今まで一度だってなかったのに。 そんな幽霊達(みんな)の愛情が奇跡のように思える絵里ちゃんは、何度も何度でも確認したいのだろう。 それで絵里ちゃんの気が済むなら、不安が消えるなら、安心するなら、幽霊達(みんな)100万回でも答えるつもりでいるのだ。 『小生、お嬢がいないとツマラナイのであります!』 『子供は大人に甘えればいいのでござるよ、ニン!』 『ガキんちょ1人で逝かせたラ、どうせ迷子になるだけネ!』 『お嬢のいるところが、私の聖地にございます……』 『お嬢が来るなって言ってもムダムダムダァ!』 『ボソボソボソ……ボソ……ズット……ボソボソボソ……イッショ……』 『お嬢を愛でる会の引越しですな。黄泉の国の蕎麦はきっと美味いはずですよ』 引っ越し蕎麦の話がでた途端、いきなりテンションMAXになった幽霊達は、 『ソーバ!! ソーバ!!』 と大合唱を始め、半泣きの絵里ちゃんも笑い出し一緒になって声を揃えた。 まったく、この幽霊達(ひとたち)は、どんな些細な事でも楽しんでしまうのだ。 これなら黄泉の国に逝ってもなんの心配もいらないな。
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