第十四章 霊媒師 ジャッキー

78/100
前へ
/2550ページ
次へ
『みなさーん! 準備はいいですかー?』 大きな声で問いかけるのはジャッキーさんだ。 これから総勢25名、黄泉の国に送るのだが、ジャッキーさんと水渦(みうず)さん、どちらが光る道を呼ぶのだろうか? 団体様分の道を通すのは容易ではないはずだ。 開通霊術を得意とする弥生さんがいてくれたら、このくらい軽いのだろうけど今はいない。 『これから黄泉の国に通ずる、光の道を呼びまーす!』 修学旅行中の先生のようなジャッキーさんが、大きく手を振り生徒達の注目を集めるとこう続けた。 『黄泉の国へ逝くには、これから呼ぶ光る道を真ーっすぐ進んでいってもらいまーす! 本当は1人につき1本呼ぶのが理想ですがー、ぶっちゃけ自分、25本も呼べませーん! そこで質問でーす! この中で亡くなって3年以内の幽霊(ひと)、手を挙げてくださーい!』 挙手したのは片手にも満たない少人数。 ジャッキーさんは、その幽霊達(ひとたち)をひとまとめにすると、そのまま待機を指示した。 『さてと、どうやって黄泉の国へ送ろうかな』 どうやら、顎に手をやり考え込んでいるジャッキーさんが光る道を通すようだ。 25人中、3年以内に亡くなったのは4人。 黄泉の国へと導いてくれる光る道、この道が死者を迎えにくるタイミングは、亡くなった直後とそこから3年間だけだ。 3年を超過すると光る道は来なくなり、自力での成仏が難しくなる。 迎えの来なくなった幽霊が成仏を望む時、僕らのような霊媒師に道を呼んでもらうか、もしくは3年以内に亡くなった別の霊に便乗するかのどちらかになる。 今回、4本分の光る道は確保できるが、全部で25人もいるのにそれで足りるのだろうか? 幽霊達(みんな)を4グループに分けて縦一列で逝けばなんとかなるのかな? 『そうだねぇ、縦一列で4グループに分散させれば逝けない事もないよ。でも、それじゃあ面白くない。もっとこう楽しい道中にしたいんだ』 楽しい道中? それって……ジャッキーさんはなにをするつもりなんだろう?
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加