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________にぃに、今まで楽しかったのです、
絵里が生きてた頃……公園で、にぃにがくれた小さなお人形、
ずっとずっと宝物だったんだよ、
お母さんに見つかると捨てられちゃうから、
秘密の場所に、大事に大事にかくしていたのです、
フリルがいっぱいついた、お姫様みたいなドレスがすごくカワイくて、
絵里もこんなの着てみたいってずっと憧れていたのです、
新しいお洋服なんて買ってもらったコトがないから、
お母さんにおねだりなんてできないから、
いつか大人になったら着てみたいと思ってたのです、
それなのに絵里、大人になる前に死んじゃって、
もうドレス着れないってあきらめてたのに、
目が覚めたら、絵里、お姫様のドレスを着ていたのです、
お人形と同じピンクのドレス、フリルもレースもみんな一緒なの、
すごくすごくビックリしたのです、
すごくすごく嬉しかったのです、
どうしてドレスを着ているのかわからなかったけど、
にぃにが、あのお人形をくれなかったら、
きっとドレスは着れなかったのです、
嬉しくて、にぃにに見せたくて、
にぃににアリガトって言いたくて、
だから絵里、この家に来たのです、
にぃにに絵里は視えなかったけど、
ディニエルさんに入れば、いっぱいおしゃべりできたから、
すごく楽しかった、
にぃにに抱っこしてもらうと、あったかくて安心したのです、
絵里、にぃにの本当のお嫁さんになりたかったな、
にぃにとお別れするの淋しいな、
でも、絵里には優しい兄さまと姉さまがたくさんいるから、
もう、独りじゃないから、
ダイジョウブなのです、
さいごにディニエルさんじゃなくても、
絵里だってわかっても大好きって言ってくれて、
ホントにホントに、アリガトなのです、
絵里もにぃにが大好き、
にぃに、先に逝くね________
……
…………
………………
「ディニエル……いや、絵里……俺の方こそありがとな。絵里がいなくなるのは淋しいよ、辛いよ。でも……ココにいたら絵里がダメになるんだよな。だから俺、我慢するよ。強くなるよ。いつかまた逢える日まで、俺、頑張るから……絵里……近くにいるのか? みんなも……へへへ……なんだかすごくあったかいや」
幽霊に埋もれた黒十字様の声。
掠れているのは泣いているのだろうか?
深夜の薄暗い部屋の中、それを確かめる術はなかった。
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