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全員が見守る中、ジャッキーさんはスッと右手を上げた。
決して力の入ったものではない。
軽く肘を曲げ……たとえるなら深夜、飲んでいて終電を逃したお父さんがタクシーを拾うのに似ている。
あれ……?
弥生さんの時と全然違うんだけど……ま、術者によってそれぞれだよね。
光る道を呼べない僕は、とにかく勉強だと目を皿のようにしてリーダーを見つめた。
一呼吸置いたジャッキーさんが再び口を開いた。
『光る道のご担当者様ー、着台してますかー? 自分、株式会社おくりびのジャッキーでーす! 毎度ご面倒おかけして申し訳ございませんー。今回も大変恐縮ではございますがー、ひとつお助け頂ければとー、
あっ! ヤマちゃん? いやぁどうも久しぶり! 元気? 今日ヤマちゃんだったんだ、
ちょうど良かった。また無理難題聞いてもらおうと思って。え? はははは! なに言ってんの、憎まれっ子世にはばかるって言うだろう? まだまだそっちの職員には、なれそうにないよ。まぁ、そのうちイヤでも逝くからさ、ゆっくり待っててよ!』
え!?
ちょ、ちょ、ちょ、誰と話してるの!?
相手の声、僕にはちっとも聞こえない!
てか、ヤマちゃんさんってどなた?
ジャッキーさんのお友達?
『そうなのよ。神奈川のS市の黒十字邸の、そうそう、全部で25人の幽霊達。いやいやそんなコトないよ! 悪い霊は1人もいないから、みんな善良! 自分が言うんだから間違いない! それでさ、色々話し合った結果、これから全員で成仏をね……やややややややや! 違うって! からかうなよ、「腕上げたな」じゃないよ! ウチの若手が優秀なんだ。いやはや、冷や汗かいちゃうだろ……ってモチロン本体の方だけどな!』
それからもジャッキーさんと“光る道のご担当者様・ヤマちゃんさん”との会話は延々と続き、途中、水渦さんが「アレが志村さんの開通霊術です」と教えてくれた。
なんでもジャッキーさんは、黄泉の国の職員さん達と仲が良く(若い頃死にかけて黄泉の国まで逝って戻ってきたらしい)、話し出すと長いのだが、そのかわり無理なコトでも大体は聞いてくれるというのだ。
『それでね、お願いってのは、ここに3年以内に亡くなった幽霊が4人がいるんだ。そう、話が早いね。光る道が全然足りないんだよ。そこでヤマちゃんにお願いなんだけど、黄泉の国で、4本をくっつけて1本の大きな道にしてからココに送ってくれないかな? どう? できそう? え? 余裕? ひゅー! さすが技術屋だねぇ! じゃあ待ってるよ。10分くらいでイケる? ……ワオ! 5分か! うん、うん、いつもありがとう! じゃ、よろしく!』
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