第十四章 霊媒師 ジャッキー

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◆ 「それでは出発します」 コインパーキングから出た僕達は、水渦(みうず)さんの運転で帰路についた。 走り出してしばらく他愛もない話をしていたのだが、完徹のジャッキーさんは、さすがに限界がきたようで、 『ごめん、もうもたない。自分はここで失礼するよ、帰り気を付けてね。おつかれさま』 そう言い残すと気配を消した。 在宅の志村さんとココにいるジャッキーさん、この両間を結ぶリンクを切ったのだろう。 後部座席のジャッキーフィギュアは、くたっと倒れ、それから動く様子はなかった。 「ジャッキーさん、おつかれさまでした。……あ、ココに残されたフィギュア(ジャッキーさん)はどうしたらいいんですかね?」 助手席から身を捩り、後部座席に横たわるフィギュア(ジャッキーさん)を、きちんと座らせて、どうしたものかと水渦(みうず)さんに聞いてみた。 すると、 「志村さんにはよくある事です。フィギュアを自宅に送るのか、それとも会社で保管するのかは次の現場次第になります。志村さんから会社に連絡をするでしょうから、このままにしておけばいいですよ」 ハンドルを握る水渦(みうず)さんが、前を見たまま答えてくれた。 そしてこうも続ける。 「さすがに疲れたのでしょう。前の現場が終わり事務所に戻ってすぐに、次の現場に入りましたからね。フィギュアの姿だと忘れがちですが、実際の志村さんは48才です。そう無理がきく年齢ではありません。48才と言えば、中高年の“高”の方に属しますから」 中高年の“高”の方って……ははは、容赦ないな。 30過ぎるとその辺の境界が曖昧になる。 30代も40代もそう大差なく感じるのだが、25才の水渦(みうず)さんからしたら、48才なんて年寄りに見えるんだろうなぁ。 30才の僕だって、休みなしの連続現場入りはキツイよ、無理きかないよ。 あ、そうだ、休みと言えば。 「そうそう、社長からの伝言で、僕と水渦(みうず)さんは、代休として今日明日お休みだそうです。で、いきなりですが水渦(みうず)さん、明日はなにか予定ありますか?」 「予定? 特にありません。ですので、この車を会社に戻したついでに、急な依頼が入ったら連絡をくれるよう、社長に伝えるつもりです。いつもそうしていますので」 うわぁ……せっかくの休み、予定がないならゆっくり休めばいいのに。 さすがは25才、若さだねぇ。 体力が違うよ。 だけどそんな元気があるなら誘っても問題ないだろう。 「あの、今回は急な依頼が来てもパスしてもらえませんか?」 「……何故です?」 怪訝な顔で、チラリと僕を見る水渦(みうず)さん。 ああ、やっぱり忘れてるよ。 「ほら、言ったじゃないですか。この現場が終わったら3人で打ち上げしませんかって。僕もこれが最後のOJTだし、独り立ちしたら中々休みが合わなくなると思うんです。ジャッキーさんも明日は休みだし、どうかなぁって」 「…………」
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