第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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電車が到着したのか、人の波が改札に流れ込んできた。 時刻は11時28分。 もしかしたらこの中に水渦(みうず)さんがいるかもしれないと、その姿を探した。 水渦(みうず)さん……水渦(みうず)さん……あっ! いた! ダボっとしたジーンズにカーキ色のトレーナー。 不機嫌顔全開で大きなリュックを背負っている。 あの中……何が入っているんだろう? てか本当にデカイ。 今日って日帰りの集まりだったよね? ジャッキーさん()にお泊り会じゃなかったよね? 余裕で2泊はできそうな荷物なんですが。 「水渦(みうず)さーん! ココですよー!」 とりあえず手を振りつつ、僕を探す水渦(みうず)さんに声をかけた。 「岡村さん、もういらしてたのですね。申し訳ありません。お待たせしましたか?」 「ぜんぜんです。僕も今来たところですよ。ところでスゴイ荷物ですねぇ。重たそうだから持ちましょうか?」 「いえ、大丈夫です。重量はありますが、こうして肩で背負っていれば負担になりませんので。さあ、行きましょう」 そうは言うけど、歩き出した足元が心なしかフラついている。 何が入ってるのか知らないけどコレはダメだろ。 「ちょっと失礼、」 僕は水渦(みうず)さんの肩にある、リュックの背負いベルトに手を差し入れると、許可も取らずに彼女の腕を抜いた。 「な、なにをするんですか!」 驚く先輩に「重すぎるので没収です」と真面目に答え、それ以上反論される前に僕が背負ってしまった。 どうせ言っても持たせる気はないのだ、だったら勝手に持つまでだ。 てか、本当にナニが入っているんだろう? 肩に食い込むレベルで重い……取り上げて良かったよ。 「さあ、行きましょう。ジャッキーさんの家まで徒歩20分くらいだそうです」 昨日のうちに住所を聞いておいた僕は、番地まで地図アプリに入力済みだ。 あとはガイドに従って歩いていけばいい。
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