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電車が到着したのか、人の波が改札に流れ込んできた。
時刻は11時28分。
もしかしたらこの中に水渦さんがいるかもしれないと、その姿を探した。
水渦さん……水渦さん……あっ! いた!
ダボっとしたジーンズにカーキ色のトレーナー。
不機嫌顔全開で大きなリュックを背負っている。
あの中……何が入っているんだろう?
てか本当にデカイ。
今日って日帰りの集まりだったよね?
ジャッキーさん家にお泊り会じゃなかったよね?
余裕で2泊はできそうな荷物なんですが。
「水渦さーん! ココですよー!」
とりあえず手を振りつつ、僕を探す水渦さんに声をかけた。
「岡村さん、もういらしてたのですね。申し訳ありません。お待たせしましたか?」
「ぜんぜんです。僕も今来たところですよ。ところでスゴイ荷物ですねぇ。重たそうだから持ちましょうか?」
「いえ、大丈夫です。重量はありますが、こうして肩で背負っていれば負担になりませんので。さあ、行きましょう」
そうは言うけど、歩き出した足元が心なしかフラついている。
何が入ってるのか知らないけどコレはダメだろ。
「ちょっと失礼、」
僕は水渦さんの肩にある、リュックの背負いベルトに手を差し入れると、許可も取らずに彼女の腕を抜いた。
「な、なにをするんですか!」
驚く先輩に「重すぎるので没収です」と真面目に答え、それ以上反論される前に僕が背負ってしまった。
どうせ言っても持たせる気はないのだ、だったら勝手に持つまでだ。
てか、本当にナニが入っているんだろう?
肩に食い込むレベルで重い……取り上げて良かったよ。
「さあ、行きましょう。ジャッキーさんの家まで徒歩20分くらいだそうです」
昨日のうちに住所を聞いておいた僕は、番地まで地図アプリに入力済みだ。
あとはガイドに従って歩いていけばいい。
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