第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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ジャッキーさんの本体に会えるのを楽しみにしていた僕は、もう色々と、総合的に、全方向、とにかく釘付けだった。 釘付けすぎてウッカリ返事をすっ飛ばした僕のかわりに、隣にいた水渦(みうず)さんが答えてくれた。 「おつかれさまです。地図アプリのナビ通りに来ましたので迷わず来れました。本日はよろしくお願いします」 キチっと頭を下げる水渦(みうず)さんに、「あはは、固いよ」と破顔するジャッキーさん。 僕もそのあとに滑り込み、 「昨日はおつかれさまでした。こちらのジャッキーさんとは初めましてです……って、なんか変な感じですね。すっかりフィギュアの姿に慣れてしまったから……僕さっき、見過ぎでしたよね、すみません!  あ、それとこれ良かったら、お土産のケーキです」 声をかけられたのに無言で返してしまった事をお詫びしつつ、ベベのケーキを手渡すと、目尻にたっぷりのシワを寄せ笑ってくれた。 「あははは、そうだよねぇ。丸一日フィギュアの自分と一緒にいて慣れてきたと思ったら、翌日は生身の本体とご対面だもの。そりゃあ混乱するよ。しかもこんなオジサンだし。でもまぁ、今日はぜひ本体(コッチ)にも慣れてってちょうだい。さぁ、とにかく上がって!」 玄関を入ると絨毯の敷かれた廊下があり、その突き当りのリビングダイニングに通された。 「2人共、好き嫌いはないって言ってたよね? すぐに用意できるから、テキトーに座ってて」 言いながら、壁にかかったエプロンを流れる動作でザッと取り、マントを羽織る優雅さで装備したジャッキーさんは、キッチンスペースへと進む。 カチカチっとコンロに火を着ける音がして数分後。 温め中のお鍋からすこぶる良い匂いが漂って、途端僕のおなかがギュルギュルと鳴り出した。 ヤバッ! ちゃんと朝ご飯食べてきたのに! 「今の腹の虫は水渦(みうず)さん? それともエイミーさん?」 ジャッキーさんのからかうような質問に、「岡村さんです」と淡々と答える水渦(みうず)さん。 ちょ!  恥かしっ! 「あははは、嬉しいなぁ。自分、腹ペコの子にゴハンを食べさせるのが大好きなんだ。今日のランチはビーフシチューとサラダとキッシュ。パンは一応自家製だよ。大量に作ったからいっぱい食べてね!」
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