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「それではみなさん、神奈川の現場無事完了おつかれさまでした! 年長者が長話するのはいただけないからね。短いけど堅苦しい挨拶は抜きとういコトで、乾杯!」
ジャッキーさんの短い挨拶で、3人だけのささやかな打ち上げが始まった。
飲み物は、お酒の飲めない僕と、いくら飲んでも酔わないので、酒代が勿体ないという謎理論の水渦さんはウーロン茶を。
ジャッキーさんは焼酎の水割り、梅干し入りだ(渋ッ!)。
「なんかすみません。まさかこんなに豪華なゴハンを作ってくれると思ってなくて……一人で大変だったんじゃないですか? それに材料費もかかったでしょう? ちゃんと請求してくださいね」
ローテーブルに並ぶご馳走の数々に、恐縮しきりでお伺いを立てる。
昨日、ジャッキーさんと電話での打ち合わせでは、当初宅配ピザでも頼みましょうか、という話で決まりそうになっていた。
が、普段から自炊をするジャッキーさんが、
『連続で現場入りしたせいで、冷蔵庫の材料がムダになりそうなんだ。もし良かったら、自分がなにか作るから食べちゃってくれないか?』
と話を持ち掛けてくれたのだ。
だったら一緒に作りますよと言ったのだが、『オジサンの簡単料理だから手伝いはいらないよ』と笑っていたのを、そのまま受け止めてしまったのだが……
「ジャッキーさんのゴハン、“オジサンの簡単料理”の域を超えてます! 本気で美味しいです! 毎日食べたいくらいです!」
もうね、ビックリした。
お世辞抜きでおいしいんだもの。
まずいただいたのは、圧倒的な存在感のビーフシチュー。
これがすごかった。
口に入れた途端とろけてほどけるブロック牛、大きくカットされたゴロゴロ野菜とマッシュルーム、とろみのあるデミグラスソースに、きざんだパセリが主張しすぎないアクセントになっている。
これだけ濃厚なのにくどくないってナニ?
そして鼻に抜ける微かな香りはバターだろうか?
一口食べるごとに、幸せのため息が漏れてしまう。
でもってキッシュ。
僕もたまに作るけど、具材はいつだってほうれん草とベーコンだ。
それ以外のレシピは勇気がなくて挑戦した事がない。
ところがジャッキーさんのキッシュは、紫玉ねぎとハムとサツマイモだったのだ。
曰く、冷蔵庫のあまりものを入れただけとの事だが、ハムの塩気とサツマイモの甘味、そしてホクホクの触感が、甘いもの好きの僕としてはたまらなく好みで、絶対にレシピを聞いて帰ろうと決心したほどだ。
そしてサラダ。
これまたジャッキーさん曰く、「これで冷蔵庫がスッキリしたよ!」なのだが、レタスに水菜にブロッコリー、ピーマン、ニンジン、キュウリにトマトのたっぷり野菜がシャキシャキでおいしいの!
ドレッシングも市販のモノではなく、お手製のオリーブオイルベースのあっさりレモンドレッシングを出してくれた。
もう最高です!
今日、来て良かった!
ゴハン、甘えて良かった!
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