第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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ある程度お腹が満たされたところで、おしゃべりに花が咲く。 神奈川の現場が早く終わって良かったとか、25人もいた幽霊がもし悪霊だったらまだ帰れなかっただろうとか。 そんなコトを話す中、僕が絶対に聞いておきたい! と思っていた質問を2人に投げかけた。 「あのー、お二人の目に幽霊はどんなふうに映るんですか?」 霊能者と一口に言っても、持っている霊力(ちから)はそれぞれ違う。 同じ幽霊を視ても、視え方は異なるのだ。 生者となんら変わりなく視えてしまう僕。 視た目は生者と同じだが、その霊体(からだ)に陽炎のような揺らめきがあるかないかで視分ける社長とユリちゃん。 揺らめきも無ければ色も無い、すべての霊体が白黒に映る弥生さん。 昨日の神奈川の現場で会った25人の幽霊達も、僕達3人の目には違って見えていたのかもしれない。 最初に答えてくれたのは水渦(みうず)さんだった。 「聞いてもつまらないと思いますよ? 社長と同じです。姿かたちは生者と同様ですが、その霊体(からだ)には陽炎が揺らいでいます」 言いながらバスケットの焼き立てパンに手を伸ばす。 それを見たジャッキーさんは、「ジャムもあるよ」と小瓶を出した。 あ、そのジャムおいしそう、僕にもください。 「水渦(みうず)さんは社長と同じタイプなんですね。霊体(からだ)に揺らめきか……いいなぁ。そんなん視えたら、わざわざ放電しなくても目視だけで分かるのに」 「そうですか? 確かに視分けはつきますが、常に霊の存在がわかるというのも鬱陶しいですよ?  志村さん、シチューおかわり頂いていいですか?」 空になったお皿を持って立ち上がる水渦(みうず)さんに、「もっちろん! いっぱい食べて! 嬉しいなぁ!」と、ジャッキーさんはニコニコだ。 おかわり自由、ただしセルフサービスで。 水渦(みうず)さんがキッチンでシチューをよそっている間、ジャッキーさんも質問に答えてくれた。 「自分の場合はね、視た目は生者と変わらない。色もついてる。だけど社長や水渦(みうず)さんが視るような揺らめきは、自分にはわからないんだ」 「それじゃあ、僕と同じ視え方ですかね?」 「ほぼ一緒だよ。霊体(からだ)だけ視たら生者と視分けはつかない。大きく違うのは、霊の頭の上に……なんて言ったらいいのかな。うーん……玉? 丸っこい玉が浮かんでるんだ。拳くらいの小さなモノで、青白くてほんのり光ってるの。わかるかなぁ? こんな感じなんだけど」  右手を握ったジャッキーさんが、自身の頭上に拳を乗せた。 幽霊の頭に青白い光る玉……? なにそれ、めっちゃ視分けやすくないですか?
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