第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「え……? なにこれ……?」 おそるおそる、金色(こんじき)の端に手をあてると、触れた部分がボウッと光り、じんわりと温かい。 直感でしかないが、悪いものではなさそうだ。 キラキラと輝く道のおかげで視界は明るくなった。 改めて下を見ると、思った以上に高さがある。 …… ………… ………………これは、 この道を行けという事だろうか? いきなり現れた謎の道。 人工的な物とは到底思えなかったが、いつまでも木の上にいる訳にもいかないし、いつあの地縛霊達が襲ってくるとも分からない。 怖くないといえば大嘘だ。 だが、考えてみろ。 足を失い、職を失い、生きがいを失った。 転職するも仕事は続かず、役立たずの穀潰しだ。 この道を進み、何か悪い事が起きても、困った事が一つ二つ増えるだけの事。 「行ってみるか……この道を進めばイベント発生だ、」 一歩、光る道に義足をかけた。 途端、常に鈍痛のある接合部分の痛みがやわらいだ。 更に一歩、もう一歩、進めば進む程、足の痛みは消え、慢性的な頭痛も消えた。 「これは……もしかして……歩くだけでHP(ヒットポイント)を回復させる……リカバーロードじゃないの……!?」 やり込んだファンタジーゲームに、こんな道があった。 間違いない……! だって、めちゃくちゃ体調良いもの! 足の痛みはもちろん、頭痛、腰痛、関節痛に眼精疲労、そういったものすべてが回復傾向にある! うっひょーっ! この感覚、まるで20代の頃みたいだ! 浮かれた自分は、もうなにも怖くないと光る坂道を全速力で登って行ったんだ。
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