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宇宙の果てはどうなっているのだろう?
そんな疑問、一度や二度は考えた事がないかい?
だが、いくら考えたって答えは出ない。
仮説はいくつもあるが、仮説でしかない。
頭の良い人達がどんなに考えても出ない答えが、一般人に出せる訳もない。
だいたい宇宙飛行士でもなければ、宇宙空間を実際に見る機会なんて一生ないんだ。
我々一般人の宇宙の知識と言えば、ネットに散らばる情報と、たまにやるテレビ番組くらいなもんだ。
そうそう、宇宙ライブカメラというものがあるのを知ってる?
ネットで気軽に見れるんだ。
数時間かけて地球を一周する衛星に取り付けられたカメラの映像を、リアルタイムで流しているの。
宇宙から見た地球は、度肝を抜かれるくらい青くてキレイで壮大だ。
あれを見ていると自分の悩みなんてちっぽけだな、なんて思うよ。
まぁ、あくまで一瞬だけどね。
木の上からスタートし、光る道をハイテンションで駆け上がっていた。
どれだけ動いても疲れないし、義足とは思えないほど走れるのが楽しくて仕方なかった。
こんな感覚は久しぶりで、もっともっと走りたいと、どんどん登っていくうちに、とうとう大気圏に突入したんだ。
ふふっ、エイミーさんも水渦さんも信じてないでしょ?
まぁ、聞いてちょうだい。
冗談ではないんだよ。
本当に大気圏を走って通過したんだから。
宇宙服も着ずに平気だったのかって?
うん、平気だった。
あの日は何年も着古したTシャツとジャージのズボンにスニーカーでね。
そんな軽装で大気圏を超えたんだ。
そこは宇宙からの隕石を燃やし尽くす程の高温なはずなのに、自分の身体は燃える事もなく、高温に苦しむ事もなく、呼吸ができない事もなく、地上にいるのとなんら変わりない状態で、ただただ光る道を進んでいったんだ。
大気圏を抜けた時、信じがたい光景に息が止まるかと思ったよ。
目の前に広がる輝く星の数々。
眼下にはネットで見たのと同じ……いや、それ以上に壮大な地球。
廃ビルの屋上から見た満天の星空……なんてもんじゃない。
果て無く広がる音の無い空間は、艶のある漆黒でね。
そこにあらゆる色の星達が、キラッキラに瞬いていたんだ。
自分が大好きなラノベに、夜空をこう表現した一文があってさ、
____神が宇宙を創造された時、何もない暗闇に自らの宝石を惜しげもなくばらまいて光を灯した、
まさにそれだったよ。
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