第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「キュゥン? 動物? 猫はニャー、犬はワン、キュゥンは……キュゥンは……んーわかんないなぁ。こないだクリアしたゲームに語尾が“きゅん”の美少女(キャラ)がいたけど……あはは、さすがに違うよねぇ、」 波打つあったかマットの上でヨイショと体勢を整えると、途端、不安定に揺れた。 「うわ、うわうわ、ちょっと、なにこれ、うわぁん!」 ぽんよぽんよと、立っても座ってもいられない揺れに、マットからポイっと放り出されてしまった。 が、しかし、 腐っても元スタントマン。 マットから地上まで結構な高さがあったものの、宙に浮いたと同時にオートで身体が反応し、前方2回ひねりで着地に成功。 クルクルッ……シュタッ! 「ヤバッ! 考え無しだった! 義足(あし)! 大丈夫かな!?」 自分の義足は一般生活用で、スポーツ用じゃあない。 日常生活には対応していても、飛んだり跳ねたり落下したりは非対応だ。 慌てて義足(あし)を確認したが、まったくもってなんともない。 それどころか、着地の衝撃が加わったにも関わらず、接合部分に痛みもない。 光る道といい、この星といい、どうやら身体の不調や痛みを消し去ってくれる、得体の知れない力が働いているようだ。 「ま、リカバーロードだろうが、リカバーゾーンだろうが、夢の中だろうが、身体の痛みがなくなるってのは、オジサンにとってありがたい話だけどね、」 誰に言うでもなく独り言を呟いた時だった。 まるで自分に返事をしてくれたかのようなタイミングで、「キュンッ!」とカワイイ鳴き声が再び聞こえた。 すると。 雲一つない青空の下、頭上に影が落ちてきた。 ただならぬ気配にガバッと振り向くと、ハッハッハッと短く息を吐く大きな口が、すぐ目の前にあったんだ。 食われる! 強烈な危機感から、後方に跳躍しようとしたけれど、「キュゥン!」と無邪気に鳴く巨大生物の手にあっさりと捕まった。 どれくらい巨大かというと……小ぶりな山くらいはあったね。 あ、わかりにくい? じゃあ、二階建ての一軒家程の大きさだと言えばイメージ沸くかな? そのくらい巨大な……パンダちゃんだったんだ。 そのパンダちゃんは、器用に自分を掴んだままグルングルンと、匂いを嗅いだり、ジロジロ見たりと大忙しだった。 新しいオモチャがどんなモノなのか興味津々といった雰囲気で、ゴハンとして自分を見ている感じではない。 それに途中で気付いたんだ。 自分を受け止めてくれた送風式救助マットもどきの正体は、このパンダちゃんの腹だったって事を。 恩人ならぬ恩パンダだ、好きなようにさせてやれと、されるがままに身をまかせた……って、どっちにしても、ガッチリ掴まれて逃げ出せなかったんだけどね。
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