第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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その声にパンダちゃんのテンションが上がった。 キュルゥン! キュッキュッ! キュルキュルキュルゥゥゥン! 自分を掴むモフモフの手に力が加わり、胃への圧迫でグェっとなった。 パンダちゃんははしゃいでいるのか、自分をブンブン振り回すわ、ドスンドスン跳ねまわるわで、まるで絶叫マシーンに乗っているようだった。 当然、放してくれとパンダちゃんの手の甲をバシバシ叩くが気付きもしない。 あまりの苦しさにリバースしそうになった時、声の主が助けてくれたんだ。 「おーい、P・A(ピー・エー)・バラカス! ソイツを放してやれ! そのまま振り回してるとゲロのシャワーを浴びるコトになるぜー?」 この一言にパンダちゃんは「キュエッ!」っと嫌そうな声を上げ、いきなり自分を投げ捨てたのよ。 ははは、まったくヒドイよねぇ。 「バカッ! バラカス! そんな高さから投げたら! ……って。へぇ、アンタやるじゃん!」 全長、2階建住宅と同等のパンダちゃん。 その腕の高さから、キタナイ物でも捨てるかのようにポイッとされたものの、この程度ならなんの問題もない。 オートで捻り2回転、なるべく花を踏まないように足先だけで着地した。 よくわからないが助かった。 パンダちゃんに声を掛けてくた人に、ちゃんとお礼を言わなくちゃ。 改めてその人に向き直り、ありがとうと言おうとしたんだ。 でも、 「ブフォーーーーーッ!!」 あぅぅ! なんてこった! 40にもなって盛大に鼻血を飛ばすなんて、恥ずかしすぎる! 「え!? オマエ、大丈夫か!?」 そう言って自分に駆け寄るその人は、腰まで伸びる黒い髪がキラキラと輝いて、滑らかな白い肌、サクランボのような赤い唇、くっきりとした大きな瞳は……右が金色で左は青色、ヘテロクロミアというやつだ。 二次元ではよく見るけど、三次元で見たのは初めてだった。
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