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◆
「ははは……知らないうちに人生が終わってた、」
いくらなんでも急すぎだ。
事故にあったあの日から人生が急変した。
なにもかもがうまくいかなくて、毎日不安と焦りでいっぱいだった。
それでも死にたいとまでは思ってなかったのに。
どうしてこうなった?
どこで間違えた?
コンビニで酒なんか買わなければ……酔っぱらって廃ビルに入らなければ……屋上に上がらなければ……偽スタッフ達に絡まれなければ……そもそもカーアクションの仕事を断っていれば……そうだ、自分は人生の分岐をことごとく間違えたんだ。
家族には迷惑をかけてしまった。
それからスタッフ達にも。
あーあ……
40才の誕生日でゲームオーバーかぁ。
リアルの人生に“トゥビーコンティニュー”のボタンはない。
納得できる死に方ではないけれど、ココで騒いでも女神とパンダちゃんに迷惑をかけるだけ。
これ以上誰かを困らせたくはない、うん……諦めが肝心だ。
それに……事故に遭うまでは、なかなかどうして良い人生だったと言える。
それでヨシとするしかない。
「…………こればっかりは仕方がないね。それで、もしかしてココは天国なのかい? こんなにキレイな所なんだ、きっとそうなんだろう。つかぬ事を聞くようだけど天国ってネット繋がる? 自分、ネットがないと……って、あーーーーーーーっ!!
パソコンーーーーーーッ!! ハードディスクの中身、もし家族に見られでもしたらあぁぁぁーーーーーーー!!」
部屋に残したパンドラの箱の今後の行方が、死んでしまったショックを吹き飛ばした。
そのくらいヤバイものがいっぱい入っているのだ。
もちろん犯罪にかかわるものではないけれど、変態の称号を頂くには十分なモノばかり。
ああ、クソッ!
なんで妹に頼んでおかなかったんだ!
自分が死んだら、決して起動させる事なく金槌でぶっ叩き、さらには風呂に沈めて壊してくれと、どーーーして頼んでおかなかったんだあぁぁぁーーーーー!
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