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「まぁ、なんだ。さっきも言ったが、ココもそんなに悪くない。むしろめちゃくちゃ楽しいぞ! というコトで……ようこそ! 黄泉の国へ!」
声高らかに女神が跳ねたのと同時。
大地にある花々が競うように咲き出して、花の絨毯が一気に地平線まで広がった。
その直後、ビュゥっと螺旋の風が吹き、舞い上がる花びらが辺り一面虹色に変えていく。
息を吞む幻想的な光景に、ただただ圧倒されるばかりだった。
特に____
「ジャッキー見てみろ! 黄泉の国の花は時間で色が変わるんだ! 花びらだけになってもそれは同じ! こんなの地球には無かったよなぁ!」
乱舞する虹色の花吹雪。
その真ん中に立つ女神は、春の妖精のように美しかった。
左右で違う瞳の色はどの花よりも鮮やかで、風に踊る長い髪を気にするコトなく笑ってる。
「キレイだな……」
無意識に言葉が漏れた。
それを聞いた女神は、
「だろ! 花はココが一番キレイに咲くんだ!」
そう言って胸を張り、嬉しそうに微笑んだ。
違うよ。
女神、違うんだ。
確かに花もキレイだけど、自分が今言ったのは……いや、よそう。
こんな若い娘に何を言おうとしてるんだ。
あと10年若かったら言えたかもしれないけど……40のオジサンにはハードルが高すぎた。
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