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なにもない大草原から、街への移動は陣を使った。
女神に連れられて、草原を歩くコト体感時間で約5分。
そこだけ草も花も生えておらず、中心の六芒星を丸く囲む複雑な図形が緑色に発光し続けていた。
「こりゃまた……オタク心を刺激しまくるねぇ」
ニヤニヤが止まらない。
ヒッキーでありオタクでありゲーマーでもある自分にとって、魔法陣とは馴染み深いモノである。
モニターでしか見た事のない魔法陣が、目の前に現れたとなっちゃテンションも上がらざるを得ない。
「移動の為の魔法陣だ。これはダーマン星の魔族の職人達が、長い年月をかけてあらゆる場所に設置してくれたんだ。それまでの移動手段は個人で行う瞬間移動だったが、それだと知らない場所には移動できないからな」
瞬間移動!?
ハイ出ました!
またもやオタク心を刺激するワードですよ!
「ちょっと待って、聞き捨てならない。個人で行う瞬間移動って、死ぬとそんなコトが可能になるの?」
「ああ可能だ。ただし、行ったコトのある場所でないとダメ。目的地を思い浮かべ、そこに行きたいと強く願うんだ。そうすれば行ける。ただし記憶が曖昧だったり、途中で誰かに話しかけられると、別の場所に飛ばされちゃうから、移動は魔法陣の方が楽で確実なんだよ」
どうやら冗談ではなさそうだ。
近いうち瞬間移動のやり方を教えてもらおう。
その時までに、なにかカッコイイ決めポーズを考えておかなくては。
「んじゃ、行くぞー」
女神に声をかけられて、バラカスに続いて魔法陣へと移動した。
ドキドキする。
自分はもう、初めてジェットコースターに乗り込む子供のような心境だった。
「街へ」と一言女神が呟くと、途端、光が強くなり身体が溶けるような不思議な感覚に包まれていった。
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