第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「センターまで陣で行こう、」 街から入出国手続きセンターまでは遠くない。 歩いて行ってもいいのだが、早く移動に慣れるよう、あえて陣を使う事にした。 街中(まちなか)の陣はいたる所に設置され、女神に案内されたのは、来た時とはまた別の陣だった。 「使い方は簡単。陣の上に立ったら行きたい場所を口にする、それだけだ。さ、ジャッキー、やってみろ」 陣の上に2人で立った。 あとは目的地の名称【黄泉の国・入出国センターへ】と呟くだけだ。 失敗のしようがない簡単な作業。 自分は小さく溜息をついた。 女神の言葉を思い出したからだ。 ____黄泉の国(ココ)には遊べる場所が他にもたくさんあるんだ、 ____100年あっても回り切れないくらいにな、 裏を返せばそれだけ黄泉の国は広いのだろう。 入国手続きが終わったら、女神とは二度と会えないかもしれない。 「ジャッキー、どうした?」 自分を覗き込む女神に、力なく笑って首を振った。 未練がましいな。 自分が情けなくなるよ。 こんなにキレイで優しい()と、一日過ごせただけで十分幸せじゃないか。 いい加減諦めろ。 「ごめん、なんでもない。目的地を言えばいいんだよな。じゃ、今から言うぞ、 ……………………陣よ……これから……黄泉の……黄泉の……クソ、言いたくないな、」 「ジャッキー?」 「あぁ、すまない。大丈夫、待って言えるから。……よ、黄泉の国入出…………こくs……セン……セン……うぅ……やだ……やっぱり嫌だっ! 陣よ! 2人を大草原へ!」 やってしまった。 一緒にいたい、離れたくない、という強い気持ちが本来の目的を捻じ曲げた。 「え?」と戸惑う女神の顔をまともに見る事ができない。 一方で陣は、自分の言葉を正確に呑み込んだ。 六芒星が緑色に発光し、身体は次第に溶けるような感覚に包まれていった。
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