2366人が本棚に入れています
本棚に追加
待つしかできない時間とは、ひどく長く感じるものだ。
女神は何かを言おうとしては黙り、それを何度も繰り返していた。
もしかしたら、“やっぱり答えたくない”と言い出すかもしれない。
だがそれも一つの答えであり、今こうして自分の事を考えてくれている事が嬉しかった。
女神の気持ちならなんでも知りたいと思う。
教えてくれるというのなら、いつまででも待つつもりでいた。
望んでた答えは突然だった。
まだ時間がかかるだろうと、空を見上げたその時「ウチも……好き……」と消え入りそうな声を聞いた。
一瞬耳を疑ったものの、拗ねたように頬を染める女神を見て本当なのだと実感した。
途端、腹の真ん中からくすぐったいような甘い感覚が広がって、人を好きになり、その人に好かれるという事は、こんなにも幸せな事なのだと改めて感じさせられた。
今ならすべてを許せそうな気がする。
爆薬の量を間違えたスタッフも、もがいていた過去の自分も。
ああ、これからこの娘を大事にしよう。
せっかく好きと言ってくれたんだ。
絶対に壊したくない。
一度手にした大事な物を失うのは、もうこりごりだ。
「ありがとう。すごく嬉しいよ、飛び上がりたいほど幸せだ」
頬を撫で、手のひらで包んでやると、女神の髪はルビー色に瞬いた。
優しくて綺麗で可愛い子。
夢みたいだ、夢なら永遠に覚めないでくれ。
若い女の子が年の差も気にせずに、こんなオジサンを好きになってくれるなんて、本当にしあ……
……
…………
そういえば……女神の年をちゃんと聞いていなかった。
この娘は今いくつなんだ?
最初のコメントを投稿しよう!