第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「ウチの年? それは死んだ時のでいいのかな? ウチが死んだのは17才の時だよ。死んでからは、」 「ジュウナナッ!? 女神、17才なの!?」 思わず起き上がり、女神の顔をまじまじと見る。 そんな自分に不安そうな女神も、ノロノロと起き上がった。 嘘だろ……? 若いとは感じてた。 時々、子供みたいな表情(かお)をするとも思っていたが……本当に子供じゃないか。 大人びた見た目から、少なくとも二十代だと思ってたのに。 「17って言っても、死んだの時の話だよ。それから15年経ってるから、生きてたら32才だ。ジャッキーとそんなに変わらない」 そりゃ生きてたら32才だろうけど…… 言われてみれば、パンツが見えて人を蹴る二十代なんていないよな。 どうして気付かなかったんだ。 「女神……すまない、そうと知っていれば、あんなコトはしなかった、」 「あんなコトって……そんな言い方…… ウチ、17だけど17じゃない。生きてたら32才なんだってば」 「そうかもしれない、けど……女神の年は止まってる。17才はまだ子供だ。大人の自分が、もっとしっかりするべきだった」 「待って!」と、小さな手がシャツを掴む。 それを上から包み込み、前に押しやり2人の間に距離をとろうとした。 だが女神はそれを拒んだ。 置いていかれる子供のように、必死に胸にすがりつく。 「なんだよ……さっきから17、17って、そればっかり、生きてたら32才(・・・・・・・・)だ、それじゃあダメなの? ウチはとっくに死んじゃってるから、ちゃんとした32才(・・・・・・・・・)にはなれないよ。今更どう頑張ればいいの? ジャッキは大人なんだろう? 教えてよ…ウチ、どうしていいかわかんない……」 それきり女神は黙ってしまった。 難しいな。 黄泉の国に来たばかりの自分は、死者の事がよく分からない。 大人びてはいるものの、少女の見た目で32才と言われても、どうもピンとこないんだ。 好きだからこそ、その数字に躊躇した。 傷付ける訳にはいかないと思った。 だけどかえって傷付けた。 17才で死んでしまったのは女神のせいじゃないのに。 無神経だった、大人が聞いて呆れるよ。
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