第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「ごめん……悪かった。ただ……40のオジサンと17の女の子では親子くらいの年の差だ。やっぱり考えてしまうよ。 だからといって……アナタを好きじゃなくなるかと言えばそうじゃない。困った事に、この気持ちは簡単には消えてくれないんだ」 自分を見上げる瞳には、今にも零れそうな涙があった。 引き寄せて背中をさすってやりたいけども、それをグッと我慢する。 華奢な身体と唇を震わせて、それでも女神は懸命に声を絞り出した。 「だったら……そんなコト言わないでよ……ココは黄泉の国だもん、いろんな星の死者が集まる国だもん、見た目も年も関係ないよ」 女神の言葉に街で見た死者達を思い出していた。 てんでばらばらな容姿の死者達は、誰もかれもが楽しそうに笑ってた。 互いの相違を、種族の違いを気にするでもなく、誰がいくつだと騒ぐ者もいなかった。 だけど問題はそこじゃないんだよ。 「ん……そうかもしれないけど……一度頭を冷やそう?  ……あのね、聞いてくれる? オジサン、女神が好きなの、大好きなの。大好きだから大事にしたいの。だけどね、その気持ちと同じくらい、女神を抱きしめたいの。さっき言ったろう? アナタだから触れたいって。女神に好きと言われてオジサンすごく嬉しかった。だからこそ分かってほしい、女神を傷つけたくないんだ。17才は女じゃない、少女だよ」 「……少女って……それって……恋愛対象じゃないってコト……?」 小さな肩が頼りなくて、今すぐ抱きしめてしまいたい……が、 「そうだ、」 辛いな。 これが正しいのかどうかは分からない。 17才で死んだ女神は、黄泉の国(ココ)で15年生きてきた(・・・・・)。 この()の言う通り、32才の女性だと思えばいいのかもしれないが……こればっかりは性格だ。 女神を傷つける者はすべて排除したい。 それがたとえ自分であっても。 「ズルいよ……好きにさせたのはジャッキーなのに……」 ねぇ____と女神は腕を伸ばした。 細い指はためらいがちに宙を泳ぎ、叶う事なら触れてほしいと切に願った。 泣き顔は、胸が鳴る程艶めいて目が離せない。 張り付くように喉が渇いて動けずにいると、やがて指は自分の頬を掠め過ぎ、左の耳朶に爪を立てた。 ギリリと爪先が喰い込んで、痛みと甘さでジンジンと脈を打つ。 「…………ねぇ、甘いの。こうしてジャッキーに触れた時、ジャッキーがウチに触れた時、甘くて幸せでおかしくなくなるの。……ジャッキーはウチを抱きしめたいって言ったよね? それがダメなコトとも言ったよね? でもね、ウチもジャッキーを抱きしめたいよ。さっきみたいにされたいよ、好きだからされたいの。そう思うのはダメなコトなの?」
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