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かくして自分が直すコトになったのだけど、どうしたらいいのか分からない。
マジョリカのように指を鳴らすだけで、何かを発動させられればいいんだけど、そのやり方が分からない。
こりゃ、しばらく彫金屋さんで修行を積むしかないかな?
マジョリカの為ならオジサン、頑張っちゃうよ?
「修行は積まなくていいよ。指を鳴らしてイロイロするのは、今のジャッキーにはできないと思うけど、一つ方法があるんだ」
マジョリカの説明はこうだった。
まずは基本的な事をなるべく簡単に。
何故、黄泉の国では指を鳴らすだけで物を出したり消したりできるのか。
これは前提として、死者の身体や黄泉の国にあるすべてのものが、電気で出来ている事に由来する。
すべてのものは電気の集合体である。
ここに広がる大草原の草木の一本一本も、マジョリカの身体も、自分の身体も、他の死者達も、街にある高層ビルも服も食べ物もなにもかもだ。
ここで勘違いしてはいけないのが、地球をはじめ各星々に存在する生活電気とは似て非なるモノであり(共通する点は多いが)、従来の先入観は捨てなければならない。
物を新たに造るには、素材となるフリーの電気を必要な分だけ集め、組み立て、形を造り替えればいいという。
ただし、創造予定物の構造を詳細まで理解していなければそれは叶わない。
必要なパーツを一から造り、膨大な量のパーツすべてが揃ったら、それらを正しく丁寧に構築させなければ完成しない。
数千年前までは、物を造るのは一部の職人だけだった。
だが、時を経る事に増えていく天才死者達が長年の研究を重ね、誰でも必要な時に必要な物を手に入れられるようにしてくれた。
一般的に、必要とされる機会が多い物に関しては、完成品をいくつも造り、それらを超圧縮技術で限界まで縮小させて物品倉庫に保管。
物品倉庫は一定の範囲内に多数点在している。
死者は必要な物があれば、倉庫にある在庫を取り寄せればいい。
具体的にどう取り寄せるかというと、死者から倉庫までを電気の線で結び、その電気線に吸着させて手元に届ける。
届くまでの時間は、ほんの半瞬にも満たない。
それはマジョリカの早着替えを見れば、決して大袈裟な話でないと分かるだろう。
ではその電気線はどう出現させればいいか。
死者歴も長くなり、慣れてくれば指を鳴らすだけで出来るようになる。
が、死者になり間もない者や、どうしようもなく不器用な死者は、うまく電気線を出せない者もいる。
そんな困った死者達は、電気線を出現させるための専用ツールを利用すればいい(ネックレスや指輪、ステッキなどデザインは多数)。
電気線さえ確保できれば、取り寄せた物品が手元に届くと同時に、解凍・再構築されるのだ。
マジョリカが行った0.02秒の早着替えも、出現させたコーヒーもこれにあたる。
ちなみに街で飲み終えたコーヒーの紙コップ。
これを消したのは、紙コップを構築していた電気信号を分解し、再構築する事なくフリー素材に戻したからだという。
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