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「言霊は、唱えた人の願いを叶えたり、霊力を引き出す特別な“コトバ”なんだ。ただし、そこに嘘があったり、嘘じゃなくても出した“コトバ”と一番に望む願いとで相違があれば術は発動しないの……ジャッキはさ……ウチのコト好きって言ったのに……なんで途中で強制終了されちゃうの? 本当はそんなに好きじゃないの……? ああぁぁぁぁん」
泣きじゃくるマジョリカを胡坐の中に対面でおさめ、ひしっと抱き着く華奢な背中をトントンとさすり続けていた。
こんなに泣いてかわいそうになる反面、幼子のような可愛さと密着する身体の柔らかさに、頭の中は不謹慎一色に染まっていた。
ああ、もう。
今すぐマジョリカを抱きたいなぁとは言えず、同時に言霊の注意事項、詳細は最初から教えてほしかった……とこれもまた言えず、まずはマジョリカをなだめる事に全振りした。
「ねぇ、マジョリカ……ん? キスしよう?」
「やぁだぁ……しないぃ……」
なんだコレ?
甘ったれになっちゃって。
さっきまで「ウチ、子供じゃないから」とか言ってたクセに。
「そんなコト言わないで、コッチ見て? キスしよう? やだ?」
「………………ヤダ、」
「えぇっ!! 困る!! オジサン、マジョリカとキス出来なかったら死んじゃうよ!!」
「………………もう死んでるもん、」
「や、ありがとう。死者としての定型文は言っときたかったんだ」
「………………ん、いいよー」
「優しい娘だね。大好き、」
「………………ウチも、」
「好き? じゃあ、コッチ見て? キスしよう? もう10分はしてないよ? マジョリカはダイジョウブなの? 自分は淋しくなってきたな」
「………………キスしたい、でもヤダ」
あぁ、すっかりヘソを曲げてしまった。
こりゃあ、大変だ。
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