第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「言霊は、唱えた人の願いを叶えたり、霊力(ちから)を引き出す特別な“コトバ”なんだ。ただし、そこに嘘があったり、嘘じゃなくても出した“コトバ”と一番に望む願いとで相違があれば術は発動しないの……ジャッキはさ……ウチのコト好きって言ったのに……なんで途中で強制終了されちゃうの? 本当はそんなに好きじゃないの……? ああぁぁぁぁん」 泣きじゃくるマジョリカを胡坐の中に対面でおさめ、ひしっと抱き着く華奢な背中をトントンとさすり続けていた。 こんなに泣いてかわいそうになる反面、幼子のような可愛さと密着する身体の柔らかさに、頭の中は不謹慎一色に染まっていた。 ああ、もう。 今すぐマジョリカを抱きたいなぁとは言えず、同時に言霊の注意事項(・・・・)、詳細は最初から教えてほしかった……とこれもまた言えず、まずはマジョリカをなだめる事に全振りした。 「ねぇ、マジョリカ……ん? キスしよう?」 「やぁだぁ……しないぃ……」 なんだコレ? 甘ったれになっちゃって。 さっきまで「ウチ、子供じゃないから」とか言ってたクセに。 「そんなコト言わないで、コッチ見て? キスしよう? やだ?」 「………………ヤダ、」 「えぇっ!! 困る!! オジサン、マジョリカとキス出来なかったら死んじゃうよ!!」 「………………もう死んでるもん、」 「や、ありがとう。死者としての定型文は言っときたかったんだ」 「………………ん、いいよー」 「優しい()だね。大好き、」 「………………ウチも、」 「好き? じゃあ、コッチ見て? キスしよう? もう10分はしてないよ? マジョリカはダイジョウブなの? 自分は淋しくなってきたな」 「………………キスしたい、でもヤダ」 あぁ、すっかりヘソを曲げてしまった。 こりゃあ、大変だ。
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