第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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気持ちは伝えた。 あとはこの先、マジョリカがその気になってくれるのを待つだけだ。 100年先でも200年先でもかまわない(できればもっと早い方がいいけど)。 そう、気長に待とうと思っていたのに。 「結婚のコト、バラカスに報告しなくちゃ!」 そう言ってマジョリカは、自分の頬にぶつかるようなキスをした。 「それは……返事はOKってコト? マジョリカ、本当にいいの? 嬉しいけど流されてない? もっと考えてもいいんだよ?」 そりゃあもちろん嬉しいけど、早すぎる決断に若いマジョリカが、自分に流されてるんじゃないかと心配になる。 後悔させるくらいなら、じっくり考えてもらいたい。 いつまでだって待つつもりでいるのだから。 するとスッと息を吸ったマジョリカは真剣な顔でこう言った。 「ううん。流されてないよ、ウチが一緒にいたいんだ。出会ったばかりのジャッキーとこうなったのも、結婚したいのも、ウチがそうしたいからだよ。自分で考えて自分で決めたコトなんだ」 「それがマジョリカの望みなの?」 「うん、そうだよ。ウチね17で死んじゃっただろ? 行きたい大学もあったのに、憧れてた仕事もあったのに、好きな人ができたら結婚もしたかったのに、なにひとつ叶わなかった。……かといってあの頃、すべてに全力だったかと言えば違うんだ。子供だったからさ、ウチにはまだたくさんの時間と機会があると思ってて、」 「うん、」 「死んでからすごく後悔したよ、もっと大切に生きれば良かったって。たぶんね、それで学習したんだ。もう後悔はしたくない、だからオペレーターの仕事を頑張ろう、それからいつか好きな人が出来たら、やっぱりめちゃくちゃ頑張ろうって思ってた。……ねぇ、ジャッキー。ウチはね、やっと好きな人に逢えたんだ」 頬を染めて恥ずかしそうに、だけど真っ直ぐ自分を見ている。 この()の中に混在する大人の部分はこんなにも眩しいのだな。 「……ねぇマジョリカ、自分も同じだ。やっと逢えたと思ってる。逢えたのが奇跡とも思ってる。好きで好きでたまらないよ。ずっと傍にいて、」 マジョリカに何度もキスを落とし、細い腰を、背中を、ギュッと抱きしめた。 「ジャッキ……ん……ずっと一緒にいよう、大好き、すごく好き……あと……ごめんね……色々大変だと思うけど頑張ってね、ウチも一緒に頑張るから……」 甘くキスを返してくれたマジョリカが、困ったように笑う。 「うん、頑張るよ、……ん? 大変って? 協力って? なんのコト? マジョリカの為ならなんでもするけど、何を頑張ればいいの?」 愛しいマジョリカが何を言わんとしているのかが分からない。 具体的に聞いてみると、 「バラカス。アイツはウチの父親みたいなもんなんだ。黄泉の国(ココ)に来て15年経つけど、ウチ、今までカレシが出来たコトがないの。出会いがあっても、ぜーんぶバラカスが潰してきたから。ふふっ、バラカスびっくりするだろうな。カレシどころかオットを連れてくんだもん」 あー、そーゆーコトか、なるほど。 だがしかし怯むか! 「姫を手に入れるには先にクッパを倒せってコトだ……上等! 絶対に認めさせるっ! 待ってろバラカス! いや、お父様!」 マジョリカをギュッと抱きしめエナジーチャージ。 今なら誰にも負ける気がしない。 幸せだ。 死んで良かった。 出逢えて良かった。 好きで好きでたまらない。 1000年ぽっちじゃ足りやしない。 マジョリカと二人、黄泉の国(ココ)で永遠の愛を生きていこう_____ _____この夜は本当に幸せで、 _____自分はマジョリカとずっと一緒にいられると信じて疑わなかったんだ……
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