第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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◆◆ 夜になったらまた来ようと約束し、陣を使ってやってきたのは【黄泉の国入国手続きセンター】だ。 手続きが完了すれば、晴れて自分も黄泉の国(ココ)の住人になる。 「ジャッキ、ぜんぶ終わったら、どこかに家を建てようよ。2人で住むの」 空いてればどこに建ててもいいんだよ、というマジョリカは子供のように笑ってる。 これからマジョリカと一緒に暮らすのかと思うと、嬉しくて幸せて仕方がなかった。 「いいね、毎日マジョリカと一緒にいられるなんて幸せだ。だけど、家はどうやって建てるの? どこか工務店に頼むのかい?」 「ううん、いつものアレだよ。指をこう、パチンと鳴らすの」 「ちょ、それで家も建てちゃうの?」 「うん!」 あらら、現世のお父さん達は、住宅ローンに四苦八苦してるというのに。 歴代の天才死者達には感謝しなくちゃだな。 黄泉の国入出国センターは、大きな卵の形をしていた。 入口がやけに広く、聞けば色々な星から死者を迎えるにあたり、身体の大きな者にも対応できるようにしているという。 マジョリカと指を絡めて手を繋ぎ、入口から中に入ると、そこにはすでにたくさんの死者達と、その付き添いであろう光る道の担当者達で賑わっていた。 「ほら、あそこにいるのが9つの命を持つコニ星の猫族だ。あっちにいる甘い匂いをさせて全身チョコレートでコーティグされてるのがチャッカレイト星のカカオ族。それから筋骨隆々で腹にデッカイポケットを付けてるのが、ダイテ星のカンガル族だ。下手に目を合わせちゃだめだぞ。ヤツらは戦闘民族だから、挨拶代わりにドロップキックをかけるんだ」 カンガル族は地球のカンガルーとほぼほぼ同じ容姿と大きさで、くるんとした長い尻尾は丸太のように太かった。 黄泉の国(ココ)に入国できたという事は善人なのだろうけど、ドロップキックのご挨拶は遠慮したい。 カンガル族の隣にいるのは光る道の担当者だろうか? これまた筋骨隆々、黒のタンクトップに迷彩柄の軍パンツ、日焼けの肌に黒髪短髪のやけに美形な男が一緒に歩いていた。 露出された肩から腕にかけて、戦闘民族よりも発達した筋肉が唸りを上げている。 時折、男に向かってカンガル族が、不意打ちでキックをかましているのだが、ほぼ前を向いたまま、片足だけで受け流してるのだがら驚きだ。 スゴイな……彼はマジョリカの同僚なのかな。 あんなに若いイケメンマッチョがいるのかと思うと、胸がざわざわしてしまう。 どこをどう見たって、自分よりあの筋骨隆々の方がカッコイイ。
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