第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「いや、まだバラカス壁は突破していないんだ。手続きが終わったら話をしに行こうと思ってる」 白雪ちゃんにそう説明すると、 「ダイジョウブですよ! だって……その……昨日は二人で……キャッ! 帰らなかったんでしょう? 今までのバラカスなら常にマーちゃんの傍にいて、そんなコト絶対に不可能だもの。バラカスがジャマしなかったってコトは、それなりの意味があるハズです!」 そうなのかな……? というか街に出た時、途中までは一緒にいたはずなのに、いつの間にかいなくなってたんだよな。 聞く限り、マジョリカ(むすめ)に近づく男は、みんな潰してきたというのに、今回はなんで追いかけてこなかったんだろう? 「私、2人を祝福するよ! 結婚、おめでとう! ねぇ、みんな集めてパーティーしよう! あと結婚式! 今、天空のチャペルとスペースオーシャンチャペルが人気らしいよ? ドレスとメイクとヘアはタッキー店長にお願いしよう! ああ……マーちゃん、私嬉しいよ。親友が幸せになるのって、こんなに良いものなんだね……」 白雪ちゃんは何本もの鉄パイプを束ねたような、強靭な腕全体で涙を拭っている。 優しい子なんだな。 マジョリカに良い友達がいると思うと、なんだか嬉しくなってしまう。 「ナンダ、そこのヒト族は結婚するのカ?」 白雪ちゃんの隣で、ずっと話を聞いていたカンガル族が、ヒョコっと顔を出し話に入ってきた。 戦闘民族とは言うが、その顔は穏やかで可愛らしい。 「うん! ウチ、ジャッキーのお嫁さんになるんだ!」 幸せそうに笑いながら答えるマジョリカ。 きっと今頃、百色華(ひゃくしょくか)のどれかがピンクに色を変えてるのだろう。 「ソウカ、そうか。良かったなぁ! アンタ達とは初めましてだが、オメデトウを言わせてもらうよ。これから同じ国の住人になるコトだし、よろしくな」 ありがとう、と自分とマジョリカ、そして白雪ちゃんまでお礼を言って、和やかなムードに包まれた。 そう、戦闘民族特有のご挨拶が出るまでは。 「カンガル族では、結婚する男にローキックをするのが祝福の印なんダ! congratulations(オメデトウ)!」
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