第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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不安は重なるものだ。 ただでさえ、マジョリカの不穏な涙に不安を覚えるというのに……こんな事ってあるのか……? 自分は目を疑った。 この()の特徴とも言える、髪に輝くすべての星が消えている。 ダイヤやルビーがいつだって煌めいて、時折流星も見えたというのに、今はまるで深い闇だった。 「……マジョリカ、こっちへおいで。泣かないで、なにがそんなに悲しいの?」 急いで義足を装着し、小さな身体を胸の中に抱き寄せた。 温かくて柔らかい身体が震えている。 見上げる顔はグチャグチャに泣いていて、 「……ジャッキ……ジャッキ……好き……大好き……離れたくないよぉ」 と、うわ言のように繰り返す。 「離れないよ、ずっと一緒だと言っただろう?」 泣きじゃくるマジョリカをギュッと抱きしめ、言い聞かせたこの言葉は、きっと自分にも向けていた。 「マーちゃん、」 白雪ちゃんがマジョリカを呼んだ。 その声は鈴の音の繊細さではあるものの、ひどく震えていた。 厳しい顔で口を結び、目は真っ赤になっている。 「……白雪ちゃん、」 「マーちゃん……ごめんね。本当はこんな事言いたくない、」 「ん……」 短く答えたマジョリカは、白雪ちゃんが何を言おうとしてるのか、本当は分かっているのかもしれない。 白雪ちゃんはゴシゴシと目を擦り、自分にもこう声をかけた。 「ジャッキーさんも一緒に聞いてください。……申し訳ありません……ジャッキーさんは入国手続きをする事はできません」 え……? なんで……? 「白雪ちゃん……それはどういう事なんだ? もしかして審査が間違えていたのか? 本当は地獄に流される人間が間違えて黄泉の国(ココ)に来てしまったのか?」 足を失ってから家族には本当に迷惑をかけた。 妹の結婚も自分のせいで潰してしまった。 そんな人間は地獄に流されるべきだったのか。 「……いいえ、ジャッキーさんの審査は余裕で通っています」 「ならどうして……!?」 入国出来なかったらどうなるんだ? いや、どうなってっていい。 マジョリカとさえ離れなければ、後は多くは望まない。 「……マーちゃん、ごめんね……ジャッキーさん、黄泉の国(ココ)に入れるのは死者だけです。ジャッキーさんは入れません。なぜなら…………貴方はまだ生きているからです」 ………………自分が生きてる? ………………そんな今更、 ………………嘘だろ?
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