第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「………………そうだ、ようやく分かった。 自分はマジョリカに逢うためだけに黄泉の国(ココ)に来たんだ。 マジョリカを好きになるために、マジョリカに好きになってもらうために、マジョリカと愛し合うために。そして出逢えた、一緒にいれた時間は短くても心は十分通じた、確かめ合った。自分はアナタが好きで……好きで好きで好きで……! ……好きでたまらない、結婚しようと二人で決めた、ずっとずっと一緒にいたい。 それを……本気で実現させるには……今は……耐えなければいけない事がある、」 本当は一瞬だって離れたくない。 引き裂く距離が怖かった。 だがそうじゃない。 今ここで離れる事は、もっと先の未来に繋がるんだ。 どうしようもなく惹かれ合い、狂ったように抱き合って、身体の熱が一時(いっとき)引いても心の熱はそのままだった。 それぞれだった二つの心臓は一つになった。 どんなに離れていても同じ鼓動を刻むんだ。 一歩、足が自然と前に出た。 カツンと床を蹴る音がして、マジョリカも前に出る。 「マジョリカに逢えたから、」 「ジャッキに逢えたから、」 一人じゃきっと耐えられない、だけど二人なら乗り越えられる。 そうだ、一人じゃないんだよ。 二人は出逢った。 現世と黄泉にわかれても、マジョリカの存在は自分を支え、自分の存在はマジョリカを支える。 恐れる事は何もない。 「もう大丈夫だっ! 自分は現世に戻る! そして必ずマジョリカの元に帰ってくる!」 「うん!」 抱きしめたい、 数歩の距離がもどかしく、走り出したのは二人同時だった。 「ジャッキッ!」 自分の名前を呼んだ瞬間。 マジョリカは猫科動物のようにしなやかに、踏み出す脚で大きく飛んだ。 「マジョリカ!」 無茶するな……! 受け止めようと見上げると、笑顔で広げた両腕が、まるで大きな翼に見えた。 ………… ……………… ああ……綺麗だ。 マジョリカ……アナタは本物の女神さまだったんだな。
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