第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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愛しいマジョリカを抱きしめて、そのまま長い長いキスをした。 人がいたって構うもんか。 これからしばらく逢えなくなるのだ。 むしろ見てくれ。 マジョリカは自分の嫁だ。 周知しとけばちょっかい出すヤツも減るだろう。 二人を見守る死者達は、誰からともなく手を叩き、それは一気に広がった。 拍手喝采が鳴りやまない。 誰だか知らんが泣いてる声も聞こえてくる。 泣きたいのはコッチだよ。 とにかく今は邪魔しないでくれ。 「ジャッキ……まって……ん……みんな、見て……」 ああ、可愛い。 昨日よりもキスが甘い。 ああ……足りない……もっとだ……もっとキスしたい。 「マジョ……大好き」 「ん……ダメ……ここ外……ぷは……ホントに」 「絶対誰にも渡さない……」 「ダイジョウブ、ジャッキしか好きじゃないよ」 「自分も……同じ……他の女じゃダメだ」 「……ホント? この先……浮気しちゃヤダよ……?」 「しないよ、出来ないよ、だってマジョじゃなければ使い物になr、」 至って真面目に嫁の不安を取り除こうとしてたのに、無粋な輩に邪魔された。 「「ジャッキー! 黙(れ)(りなさい)!!」」 後頭部をしたたかに殴られて振り向けば、怒りMAXのバラカスと、顔を真っ赤にした白雪ちゃんがいた。 「長ぇ(なげぇ)よっ!!」 ペッ! とツバを吐くバラカスと、 「最初は感動したんですけどねぇ……ほら、まわりも引いちゃってますよ?」 手のひらをウチワ代わりにパタパタ振って、顔の熱を冷まそうとする白雪ちゃん。 優しいマジョリカは、怒られる自分を庇おうと、 「待って! ジャッキを責めないで! ウチも悪いよ、センターでキスしてごめんなさい。次はヒトのいないところでキスするからね」 こう言ったのがマズかった。 熱暴走でぶっ倒れる白雪ちゃんはともかく(や、ホントにゴメン)、バラカスはもう爆発寸前。 これは……きっと小林の呪いだ。 爆薬の計量、1桁違うんじゃないかってくらいお怒りで、 「ジャッキー、ちょっと(ツラ)貸せ。オマエに話がある」 とバラカスの研究所に強制連行されたのだ。  
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